KKS Web News
TOP各募集詳細 
教育家庭新聞社 主催
教育研修支援プロジェクト
3ブロック9地区で実施
もっとIT活用を!

 平成17年度までにすべての教員がコンピュータで指導できるようにすることが国の目標だが、14年5月1日現在の文科省調査によると、コンピュータで指導できる教員数は全体で52・8%(小学校66・3%、中学校46・1%、高校34・4%)と、高いとはいえない。
 そこで教育家庭新聞社では、初の試みとして、コンピュータや映像提示装置、デジタルコンテンツ等を活用して指導できる先生の増加と教科でのIT活用促進を目的とし、「教員研修支援プロジェクト」を実施した。
 教員研修を16年7〜8月に実施する教委を関東・関西・中京の3ブロックで募集し、9地区で開催した。各地区の環境やスキル、ニーズは様々であるが、各教委のニーズにあわせ、電子情報ボード等の機材やIT関連コンテンツ、講師などを提供、教員研修のサポートを行った。

 過去記事:「教育研修支援プロジェクト 参加教委を募集」

参加地区
中京地区
三重県
岐阜県大垣市
関東地区
神奈川県横須賀市
東京都小平市
東京都国立市
関西地区
大阪府豊中市
大阪府高石市
兵庫県三田市
京都府京田辺市

三重県
 三重県総合教育センターでは、各教科や領域に関わる様々な研修を通年にわたり実施、IT活用に力をいれている。7月29日にはプレゼンテーションの要点・方法についての研修が、講義と実習により午前10時から午後4時まで行われた。県内の小中高等学校の先生約30人が参加。まず、亀山市立昼生小学校の浅熊美典先生がパイオニアの電子情報ボードを使って、プレゼンテーションのポイントについて講義後、各自が自己紹介を兼ねたプレゼンテーション作品作りに取り組んだ。

 パワーポイントの操作経験のあまりない先生方は別の研修室に移動し、県立川越高校の近藤泰城先生が講師になりまず操作方法を学習。その後、各自作品を制作後、自分のプロフィールや学校の様子、趣味について、電子情報ボードで発表した。
 電子情報ボードの操作は容易なようで、初めてでもみな画面にタッチしてスライドショーを実行、簡単なプレゼンテーションをしていた。

 8月9日・10日の2日間には「平成16年度教職経験10年研修・情報教育選択研修」を実施した。参加教員は60名。

 研修は、3グループに分かれて行われた。Aグループは「文書・企画書作成」、Bグループは「プレゼンテーション」、Cグループは「HP作成」がテーマ。午前中は3グループ合同で、「Eラーニングシステム・ネットDE研修」を利用し、Aグループは金沢大・中川一史助教授による「情報教育と学校のあり方」、Bグループは、大阪教育大学の田中博之助教授による「確かな学力を育てる情報教育のあり方」、Cグループは、大阪教育大・桐越國男教授による「学校HPの役割と運用ガイドライン」を受講した。午後の部では各々3グループに分かれ、研修を実施。Bグループでは、教員研修支援プロジェクトを通じて貸与された電子情報ボードを使い、同研修主事の大立目佳久氏が「情報教育の意義とねらい」および「情報モラル教育」「知的所有権・財産権」について、県立四日市工業高校・濱口典茂教諭が「フォトショップの使い方」、二見町立二見小学校・河村広之先生が「パワーポイントの使い方」を説明、その後グループごとに「自己紹介」のプレゼンテーション資料を作成した。

岐阜県大垣市
「情報モラル」に関心高く
研修画像

 岐阜県大垣市では、校務用グループウェアソフト、教材ソフトの活用法など今年度17講座、のべ24日間、参加人数のべ480人あまりの研修を組んでいるが、そのうち8月5日の「情報モラル研修」で当社の教員研修支援プロジェクトを活用した。

 市立西中学校のコンピュータ室で、午前中は中学校の先生20人が参加、午後は約10人が参加して実施。講師はセキュリティメーカーであるジェイエムシーの教育情報化コーディネータ・坪本智英氏。

 坪本氏は情報セキュリティを中心に、パイオニアの電子情報ボードを使って、情報セキュリティの事件・事故事例、セキュリティ確保の要点について言及。参加者から校内LAN構築時のセキュリティの確保の仕方などについて質問を受けた。

 その後、参加した先生方は各自、文部科学省が制作したIT活用事例のサイト「『IT授業』実践ナビ」を閲覧し、授業事例を確認。インターネット上のコンテンツの存在は案外知られておらず、初めて見た教員も多かったようだ。

 休み時間に実施されたパイオニア・宮腰氏による電子情報ボードの機能説明・教材の鮮明さに先生方は興味深く見、聞き入っていた。


神奈川県横須賀市
 神奈川県横須賀市では、8月2日〜4日の3日間にわたり「情報リーダー研修」を行い、3日目に教員研修支援プロジェクトを活用した。

 当日午前中は「学校現場に求められる情報セキュリティ」について、ジェイエムシーの坪元氏が講演した。午後は、(財)コンピュータ教育開発センター・関幸一氏が「E黒板とE教科書で授業が変わる!」というテーマで国の施策や最近の動向、「E黒板」のメリットや活用状況などを説明した。また、配布CD−ROMに収録された動画コンテンツや素材などを実際に見るなどした。今回研修支援を通して使用した電子情報ボードについて、千葉県袖ケ浦市での活用事例をコクヨの安吉氏が紹介した。

 横須賀市では、平成13年に市内全校(小学校48 中学校25高校1特別学校2)を光ファイバーで接続、全学校にコンピュータが42台づつ導入されている。また、プロジェクターは、小学校では1校につき2台、中学校各1台。高校は総合高校なのでパソコン室が3つあり、プロジェクタは各教室に設置されているという。

 教員研修には力を入れており、夏期は毎週火曜・金曜に、希望者を募り一般教員向けに研修を行っている。また、管理職研修は年2回、情報教育担当者研修は今回実施のものを含め年6回実施している(1日を1回と計算)。


東京都小平市
 東京都小平市では、8月2日、市内小中学校の教員対象に「デジタルコンテンツ活用のための研修会」を実施した。

 同市ではグループウェアにイントラバケッツを導入しており、「衛星データ図鑑」「ブリタニカ百科事典」「ネットワーク図鑑」などのコンテンツを導入済みだが、まだまだデジタルコンテンツの活用が進んでいるとはいえない。そのため今後、同市デジタルコンテンツ活用の進捗を図ることを目的として実施された。

 参加教員は小中教員35名(小学校29中学校6)。

 講師はラティオインターナショナルの西村氏、小林氏、プロジェクタ教材・小学校算数の開発者でもある原久太郎氏(NPO法人ゆ〜らっぷ)、ESRIジャパンの矢口氏など。

 当日の研修内容は「2005年からの普通教室」像と、プロジェクタ教材の「道具箱」ほかの活用法、同市に既に導入されている「ネットワーク図鑑」の活用法、GISを利用した身近な地域の調べ学習について。実際にプロジェクタ教材などを各自のコンピュータから動かした。受講者からは「この教材は使いやすい」「全員がこのコンテンツにアクセスした場合どうなるのか」などの感想・意見などが出されていた。


東京都国立市
 国立市教育委員会では、8月18・19日の研修で教員研修支援プロジェクトを活用した。18日はセキュリティについて、19日は教科でのIT活用について。「算数の授業の中でIT教材を効果的に使えたらいいなあと思いまして」と研修に参加した理由を語る小学校の女性教諭。19日午前中は算数で、講師はラティオインターナショナルの西村氏と渡辺氏。1年生から6年生までの教科書に対応したIT教材を順に体験してもらう。ITを使うことで、重さや時間などの単位や測定についての理解、三角形や円の面積の求め方、分数同士の割り算など、についていかに指導できるか、電子情報ボードに映しだしまた実際に体験してもらって授業提案した。後は理科。講師が昼休みに採取してきた草花の名前を、「植物図鑑」のサムネイル画像や花の形、葉のつき方などの情報を手がかりに実際に探し出す。「これかな?」「あった!」。若年の先生も年配の先生も真剣だ。

 続いて、地理情報システム「GISを利用した身近な地域の調べ学習」の活用。講師はESRIジャパンの矢口浩平氏と大内一宏氏。GISの活用方法について解説後、実際にソフトの使い方を参加者が体験した。

野草を植物図鑑で検索
研修画像

大阪府豊中市
 大阪府豊中市は昨年、ルシオールビル内の6階、7階に現代的な「豊中市教育センター」を開設。6階は研修フロアーになり、研修室5、視聴覚室1、科学実験室などを持つ。研修は通年にわたり各教科や情報の研修が多数実施され、夏期休業中も40近い講座を実施。このうち、管理職研修の一部で教員研修支援プロジェクトがを活用した。

 テーマはいずれも情報モラル。8月4日は小中学校の学校長の希望者約30人が参加、情報モラル教材(動画)の作成を実習した。講師はビデオ編集ソフトメーカー・カノープスの清水亮司氏と有富豊氏。

 悪い例として、ある掲示板サイトの画面数点をキャプチャーしてビデオウィンドウにドラッグ。テキストボタンで「悪い例」と打てば文字入りのビデオ教材が出来上がる。アダルトサイトの例示教材では、モザイクを入れたり画面全体をぼかすことも簡単だ。

 校長先生方は熱心に、パイオニアの電子情報ボードで操作の方法を確認しながらインストラクターのサポートを得て、コンピュータでビデオ教材作りを体験した。6日は教頭先生約30人が参加。講師はジェイエムシーの坪本智英氏。「知らない間に加害者になる可能性がある」情報セキュリティの怖さなどについて、安全確保の重要性を示した。両日ともその後、十河秀敏指導主事が講師になり、校長・教頭先生に実際に「掲示板」を体験してもらい、またITを活用した教材設計の基本的考え方や理科の事例について解説した。

大阪府高石市
 大阪府高石市教育センターでは、夏休み期間中を利用し、市内小中学校教員を対象としたパソコン研修を行っている。研修は計10日間。
校長先生も真剣
研修画像

 内容は、画像編修やエクセル、デジタルカメラの使い方、グループウェアの使い方、「情報セキュリティ研修会」など。うち「情報セキュリティ研修会」は教員研修支援プロジェクトがサポートし、実施された。

 午前中はジェイエムシーの三枝氏により「学校現場に求められる情報セキュリティ」を実施。情報セキュリティの最新ニュースとセキュリティの危険信号チェック、「脅威」の構造などについて取り上げられた。管理職と情報担当教員が受講、熱心に質問する姿が見られた。

 午後はカノープスのビデオ編集ソフトを使い「セキュリティ教材の作成・編集」を試みた。講師は同社有冨氏。参加教員はセキュリティに関わる動画素材やコンテンツを編集、見せ方やアレンジのノウハウを学んだ。

兵庫県三田市
 8月30日「三田市教育情報教育研修会」が実施され、午後の部で教員研修支援プロジェクトを活用した。参加者は情報教育に精通した18名。前半はパイオニアの電子情報ボードを使い、ジェイエムシーの三枝氏が「実際にどうやればセキュリティを守れるのか」をテーマに研修を行った。「ネットの長所短所両面を把握するためには、教員自らが体験することが必要」「安全性を高めるために使いにくくなってしまうのは避けたい。使いやすさとセキュリティの強化、両者のバランスが大事」と述べた。後半はカノープスの有冨氏が、セキュリティサイトのビデオ教材作りを指導。映像は教材として指導効果が高いが、視覚的に演出するいくつかの技法により、その効果をより高めることができる。そのノウハウの実際を学んだ。終わりに実施されたパイオニアの木村氏による電子情報ボードの機能説明に教員らも周囲に集まり、実際に触れ、早速貸与の検討を始める学校もあった。

京都府京田辺市
 京田辺市教育センターでは、8月10日、教員研修支援プロジェクトサポートによる研修「GISを利用した身近な地域の調べ学習」を実施した。使用機材はコクヨの電子情報ボードシステム。

 調査場所・調査対象を検討、グループごとに何を調査するかを決め、フィールド調査を行い、グループごとにGIS上に調査結果を集約することで、考察を深めることができるのがGISシステムの特徴だ。地域の警察と連携・調査を行い、季節ごとの風向きを調べ、非常時にはどこに逃げればよいかを調査する、という学習は、避難訓練が総合的な学習に結びつくひとつの例といえる。参加した中学校・家庭科教員は「GISは、郷土料理や世界の料理でGISを活用すると面白いのでは。mimioは良い板書を記録として残せる点が良いと思った」と感想を述べた。


教員研修支援プロジェクトに参加して
■パイオニア
  木村敏幸
 プロジェクトでは、学校教育用50V型プラズマ電子情報ボードEPD−C504を機材提供しました。周囲に先生が集まり、興味深そうに触って頂けました。触らなければその良さはわかりません。関西地区を担当していますが、情報教育に興味をもつ先生方が非常に多いと感じています。真剣にIT活用を考えている先生方に対峙すれば、メーカーとしても真剣になります。どのようなアイディアを提供できるのか、今まで以上に真剣に取り組みます。

 ・学校教育用50V型 プラズマ電子情報ボード 「EPD-C504」
■ESRIジャパン
  大内一宏

 プロジェクトでは、「スケーラブルGISシステム・ArcGISシステム」を用いた小学校での実践をご紹介しました。GISプログラムはこれまで主に高校・大学への提供が主で、今回のような形で小中学校の先生と接したのは初めてでした。今回のプログラムを通して、地図システムを使った授業の可能性もあるのだ、と考えていただければと思います。今後は、先生方や生徒さんに即GISシステムを操作できる形を考えていきたいですね。

 ・「スケーラブルGISシステム」 「ArcGISシステム」
■コクヨ
  安吉 弘
 プロジェクトでは、mimio5693の機材提供をしました。プロジェクタに組み合わせ、ホワイトボードに付けるだけで電子情報ボード機能が使えるというものです。教員研修支援プロジェクトを通して、実際に先生方や教委の方に触れて頂くことができました。初めて見て驚いた、面白い、など興味を持って頂けました。初めて触ってもすぐ使いこなすことができ、設定もその場ですぐに行なえる簡単さと、実際の使い勝手を知ってもらえた点が良かったですね。

 ・ホワイトボードが電子黒板に! 「mimio Xi」

■カノープス
  有富 豊
 プロジェクトでは、セキュリティをテーマとして、HPコンテンツを教材としてLET5384EDITで編集して頂きました。動画コンテンツを授業に有効に生かすために、動画等コンテンツを先生が編集する、という方法があります。ほんの少しの作業で、効果的な教材を作成可能です。動画の扱いを知ることは、ひとつのツールを増やすこと。情報モラルのスキルはITスキルに比例します。ITを使いこなせる先生を増やすお手伝いをしていきたいですね。

 ・ハイレベルな技術が簡単に! ビデオ編集ソフト 「Let's EDIT」
■ジェイエムシー
  三枝 勲
 プロジェクトでは、セキュリティや情報モラルに関する講師として参加しました。参加された先生方にはセキュリティに関して身近に感じて頂けたと思うのですが、参加していない管理職の方々に伝わっていくのかどうか心配しています。今、事件にまきこまれない対策に目がいきがちですが、それ以上に安全対策や管理を、如何に使い手にとって負担のない形で実現していけば良いのか、という視点で考えていく必要があるのではないでしょうか。

 ・セキュリティを万全に! 「Hard LockTM