ヒト型ロボットを開発
日本工学院八王子専門学校



  今、何を目指し学習しているのか−−
 日本工学院八王子専門学校の福田守先生は、基礎的な知識は実践を通しながら習得できる、と強調する。
 「製作過程で逐次、基礎知識や派生する問題を教員に聞けばいい」
 実践優先型のカリキュラムを設置している同校。今年度からコンピュータ機械制御科をロボット科と名称を変更し、昨年度まで2年次に設定していた製作や制御実習を1年次のカリキュラムに組み込むこととした。
 年間の授業時間は960時間。うち570時間が実習にあてられる。
 「従来、人間はものづくりが好きなはず。高校まであまり手を汚しながらものを作ったことのない学生も、作業をはじめると、とたんに熱中。2時間ずっとアルミ板にやすりをかけていましたよ」(福田先生)
 ロボット科では、ロボットを創る・操る・遊ぶをキーワードに工学技術はもとより、ビジネスや福祉に利用できるロボットの活路を見出す。今年3月には(株)ココロの技術協力を受け、人間型ロボット「KARFE(カーフィー)」は、アミューズメントシーンでの演出を可能とする教育用ロボットとして開発された。
 「人とコミュニケーションを図ることのできるようなインターフェースを」と、高さ180cmの丸みを帯びたボディのロボットは、38の制御点、34のシリンダを有し、指先まで繊細に作動する。製作期間は3月に行われたロボットイベントROBODEXまでの3か月間。白と緑のコントラストが特徴のデザインは芸術系の学科が、中性的な声で発せられるお茶目な台詞は演劇系の学生が、プログラムはコンピュータ機械制御科(現在のロボット科)が担当した。
 「学習していることが何に応用されるかを考えつづけることで、ビジネス感覚や社会的な視野の育成にもつながります」
 ROBODEXで展示するために、音響や照明、台詞のシナリオまで綿密に打ち合わされた。
 「今後は介助や精密作業など、あらゆる分野でロボットが活躍してきます。目的と実情に合わせたロボットを提案するコーディネーターが誕生するのも時間の問題でしょうか」福田先生は、ロボットマーケットの拡大化に期待を示す。
 「ロボットはメカトロニクスの集大成」と同科では、2年間で4つのロボットを作成し、学内におけるロボットコンテストなどで発表する。また外部のロボット関連コンテストにも積極的に参加。昨年度は全国専門学校ロボット競技会でみごと優勝に輝いた。
 「出場する前に動作しなくなるのは避けたい。ハードはシンプルな構造とします」と同競技会で優勝した横溝忠善君。現在はかわさきロボットコンテストへの出場に向け、実習室の一角でメンバー達と構想を重ねている。
 http://www.neec.ac.jp/