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中央大付高の「調べ学習」
高校で「卒論」に挑戦

 生徒が自ら意欲的に学ぶ環境をどうつくるか−−。「総合的な学習の時間」がカリキュラムに導入され、図書館の役割とその情報化が注目されている。中央大学附属高等学校(学校長:金子雄司)では、その膨大な量に及ぶ蔵書の検索システムと朝日新聞の記事検索システムを導入、調べ学習を強力にサポートしている。その先進的な取り組みを取材した。

データベースを検索してトピックを探す
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「記事データベース」が強力サポート!
 受験校の対極にある中高一貫の附属高として、「論理的思考力と健全な批判力」の育成を目標のひとつとしている同校では、伝統的に「調べ学習」に力を入れている。その最たるモデルが高校3年生次の「国語表現」の時間の「卒論」執筆の活動だ。

 論文執筆にはほぼ1年間を費やし、1クラスにつき担当の国語教員が一人と、大学のゼミさながらのカリキュラム。生徒たちは、自分のテーマについて、構想段階から執筆まで、担当教員に相談しながら進めていく。論文の目標枚数は「注釈や引用を除き」10枚以上。最初はとまどう生徒もいるが、最終的には30〜40枚の力作が出来上がる。毎年年度末には、論文部門の受賞作が機関紙に掲載される。昨年度は「日本における戦争の描かれ方−教科書、資料館、マスメディアの観点から」「行政問題としての放置自転車」など4点が受賞した。



卒論という難しい課題を高校で成功に導くカギは、調査・取材や執筆に入る前に設けられるディスカッションの時間だ。生徒がそれぞれのテーマを発表する時間が設けられ、他生徒からの質問や指摘が活発に行われる。指導にあたる国語科の小野しょう子先生は「ディスカッションの前と後では、問題意識の質や深さが大きく変わってきます」と述べる。

 良いディスカッションになるか否かは「如何に具体的な事例を数多くあげられるか」にかかっているという。「追求しようとしている問題点が、過去どのように報道され、現在はどのように語られているのか。抽象的な言葉ではなく、具体的な事例をどれくらい数多く揚げ、説明できるかどうか。それがディスカッションの出来を左右します」

国語科・小野祥子先生
国語科・小野先生


■ 必要なトピックピックアップ

 生徒たちは、この「事例探し」のために、積極的に記事データベースを活用している。朝日新聞の記事データベース検索システムでは、当日の朝刊まで記事検索の対象となり、最新情報をトピックに盛り込むことも可能だ。

 3年生の進藤和貴子さんのテーマは、最近のペットブームとそこから生じる種々の問題点について。「ペットブームから生じている社会的な問題については、新聞などのニュース記事からピックアップします。問題が生じてきたのはここ2、3年のことだと思っていたのですが、朝日のデータベースで検索すると、思っていたよりもずっと以前から問題があったので、驚きました」

 通常の検索エンジンだと、ペットショップの情報など、進藤さんが必要とする情報以外のものまで数多くひっかかってしまう。その点、新聞記事に特化したデータベース検索は、必要となるトピックを効率的にピックアップすることができる。また、日付順に表示することが出来るので、その年によって注目度の高い問題点の変化も一目瞭然だ。問題点を明確にした後は、蔵書検索で、個別に調べを深めていく。

■ 記事データベース
  導入のポイントは?


司書・櫻井先生  図書館では、約12万冊の蔵書を2001年度にデータベース化、調べ学習で活発に活用されているが「新聞記事をもっと活用したい」とアンテナを張っていた櫻井先生が注目したのが朝日新聞の記事データベース検索システムだ。本格的に導入して半年が経過、社会科や国語科、理科、英語科などで積極的に活用されているという。「朝日新聞の記事データベース」は課題を最新の具体的事例や過去の経過から考え、見つけるためのツール。蔵書は、それを裏付けるためのもの。それぞれの役割が明確なので、より厚みのある調べ学習が可能になります」


   司書・桜井強先生

朝日・記事データベース詳細は http://www.asahi.com/information/webdb.html


【2003年10月4日号】