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BETT視察を終えて

ブレア首相の政策が
  子どもに届いていた!

向山洋一氏
向山洋一氏
 ブレア首相の政策が学校現場にきちんと作用している、それを実際に見ることができた。それが今回の最大の収穫です。

 政府の資金投入によって提供されている「ティーチャーズTV」では、教師の指導力向上のための教師向けプログラムがなんと10チャンネルもあり、毎日放送されています。TOSSでは相当頑張って教師向けのコンテンツを提供していますが、国家政策がらみでないと実現不可能なことがイギリスでは既に実現されていました。

 日本では、文教予算がおりても「調査研究して終わり」ということが多い。子どもたちのところまで予算がきちんとおりてきていないのです。教師や子どものところまでおりて実際に作用する、そのモデルをイギリスで見ることができました。教育ICT化に関して日本の点数を2点くらいだとすると、イギリスの点は92点くらい。それほど圧倒的な違いを感じました。

 日本でも「学級崩壊」はいまだに問題であり、「授業以前の問題」に頭を悩ませている教員も少なからずいますが、イギリスではそれに対して政府が積極的に対応策を取っている、という点が印象に残りました。

 「子どもたちだけでうまくコミュニケーションを取れない」という状況の打破に、アクティビティなどを行いながらクラブ活動とは違うコミュニケーションを図る活動を必要に応じてカリキュラムに取り入れ、かつそこに専任教員が配置されています。

 カウンセラーも別途配置し、日本で言われる「生徒指導」もそこで集中的に行われる。日本ですと、これらの仕事をすべて学級担任が行わなければならないところです。

 さらに、子どもたちだけで解決できるシステム作りも行っていく。一方重度の場合は両方の親を呼んでカウンセラーが解決を図る。つまり、学校のメインシステムのほかにサブシステムが作用しているわけです。これは担任が行うのとは随分違うと思います。 

 小学校でもアシスタントティーチャーがかなりの数ついていました。自閉症の子ども14人に対し、アシスタントティーチャーがなんと10人もつくのです。

 そういったサブシステムは、日本でも作っていくべきです。正規の教員だけで全てを行うのではなく、正規の教員と同じくらいの権限で、かつ別の機能を持ったサブシステムです。

 環境整備の点で驚いたのは、見学した小学校の全ての教室から黒板がなくなり、かわりに電子情報ボードが置かれ、プロジェクターが天井から吊るされ、固定されているということ。「黒板をなくす」というのはすごいと思います。黒板を取り払って電子黒板に総取替えをし、実に楽しそうにやっている。これが実に印象的でした。

TOSSとは
 東京教育技術研究所(Teacher's Organization of Skill Sharing)の略称、授業・教育にすぐに役立つ教育技術・指導法を開発・収集、検証検討しあって自らの授業の技術を高め、集められた教育技術・指導法自体もより良いものにしようと努める教師の団体。代表は向山洋一氏(元東京都公立小学校教諭・上海師範大学客員教授)。著書は『授業の腕をあげる法則』,『子どもを動かす法則』『学級を組織する法則』『いじめの構造を破壊せよ』(明治図書)等100冊以上。

 06年3月25日(土)〜5月14日(日)の休日(会場により異なる)、全国600会場以上、すべての都道府県で第4回TOSS全国600会場一斉セミナー「TOSSデー」が開催される。
http://homepage2.nifty.com/87onuki/index.htm

「インターネットランド」通称TOSSランド http://www.tos-land.net/
 TOSS参加の1万名近い教師のさまざまなボランティア活動によって創られた、教師専門のポータルサイト。明日の授業で使える毎時間の発問集,子どもが熱中する学習ゲームサイトなど14000以上のコンテンツからなる。連日25000のアクセスがある。


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