海外通信
小一からIT教育 中学でプログラミング
質の高い教師獲得に学校独自の取り組み
上海市では、IT教育に関する関心は高く、学校独自の取り組みも盛んだ。楊浦区打虎山路第一小学校二分校の薛志剛校長と上海佳路技術発展有限会社副総経理・劉建氏に、上海市におけるIT教育について聞いた。
■学校長裁量は
“一万元” 上海の子どもたちは幼稚園時期から「英語」や「国語」を学習しており、小学校に上がると、学校内には、随所に英語で書かれた標語が掲示されている。同校でのコンピュータ関連の授業は週1時間。マイクロソフト製品のリテラシー向上が中心で、ワード、エクセル、フラッシュ、ホームページの作成などを行なう。教育委でのIT教育開始年齢は小学校3年生からだが、同校では1年生からスタートしている。小学校低学年用のIT指導教材は用意されておらず、各教師の手作りだ。なお、中学ではデータベースなどのプログラミングを行なうという。
IT教育に関しては、裕福な家庭ほど要請が高い。また、児童自身の興味も高い。これは、上海サラリーマンの平均収入2800元/月に比較し、IT関連企業は7000元/月程度が平均と、倍以上もの収入格差の存在が影響していると考えられる。よって学校もIT教育に力を入れざるを得ず、質の高い教師の奪い合いとなっており、国が支給する基本給+各学校が手当てを支給するため、各学校の諸手当を確保するため、学校周辺に副収入源(文房具屋など)を自主経営しているなどの工夫を行なっている。学校長の自由決済額は1万元で、それ以上は区(教育委員会)の決済となる。また、教員の研修費は各学校の負担だ。
教員免許取得においては、上海市教育委実施のパソコン関連試験の合格が必須条件だ。試験内容はワード、エクセル、ネットワーク、基本知識など。上海市には、教育委実施のPCソフトレベル試験(キーボード入力など)がある。受験は自由だ。日本の教育事情に関する興味も旺盛だ。PC環境&活用状況や、評価方法、ゆとり教育に関する情報を積極的に求める機運がある。同校では「イントラバケッツ」(JR四国コミュニケーションウェア)を導入している。これまでのところ、作文や学校新聞などの作品を登録して保存しておいたり、クラスの生徒管理を行なったり、食生活のチェックなどの生活指導に活用しているという。今後は、先生方が教材を作成・共有するためのデータベースを作成する・授業のまとめの資料を作るなどを予定している。
上海市楊浦区打虎山路第一小学校二分校では、日本の学校との交流を検討中・問合せに応じる。ご連絡は教育家庭新聞社マルチメディア事業部まで。
【2004年10月9日号】