ソフトバンク・グループ(以下ソフトバンク)がヤフーBBの回線を学校や公共機関に無償で提供するプロジェクトが2003年4月より、ついに開始した。開始から既に4ヶ月が経過したが、現在無償提供を受けている学校・公共機関は、施設数77都道府県(内訳:小学校33、中学校16・高等学校16・大学1・保育園4・公共施設17)、回線数94都道府県。また、今後寄付実施が予定されている学校・公共施設は、東京都・大阪府・長崎県の3施設・3回線だ。法人営業部・安川新一郎副本部長に、これまでの経緯とこれからの抱負を聞いた。
■ ヤフーBBを学校などに
無料で提供
「もともとヤフーBBは、当時高額で遅かったブロードバンド・インフラを、民間の力で、どこまで安く、使いやすいものを提供出来るか、という挑戦から始まったものです。加えて、孫正義はe-Japan戦略の推進メンバーでもあり、教育に貢献したいと強く思っていた」。
そこでソフトバンクは2002年4月、ヤフーBBの回線を全国の学校や公共機関に無償で提供する、と発表。文教市場に反響を呼ぶ。5月上旬、岩手県、福岡県、岐阜県、大分県、大阪府での説明会を皮切りに、問合せを受けた教育機関向けに説明会やセミナーなどを開催した。6月下旬にはモデムを送付、7月より実証実験が開始した。
発表から実施まで1年半を要したのは、実証実験を丁寧に行ったためでもある。 その結果、ついにこの4月よりプロジェクトが開始された。
「直接的な収入がなく、有償サービスであるヤフーBBを導入することが困難な児童・青少年に対して、プロードバンド・インターネットの環境を提供したかった。ところが、何故無料なのか、と二の足を踏む方が多い。これは純粋に地道な貢献活動なのだ、という点をご理解頂くのに、思ったより時間がかかりました」
告知は各学校・教委に行っており、申込みはHPのみで行っている。
HPから申し込むと、ソフトバンクからメールで書類が送付される。必要書類に記入、印鑑を押し、送付するだけで申込みは完了だ。
ただし、 円滑な導入を図るためには、学校側にも準備が必要だ(表1)。また、ある程度のリテラシーを保有する責任者がいる学校・施設を優先的に導入しているという。「ある程度以上のリテラシー」の基準とは「回線工事及び開通後のトラブル対応について対応可能なこと」「メールの設定、セキュリティ、有害サイトのフィルタリングなど、独自で対応が可能なこと」など。
これらの基準を定めた理由は「より多くの学校にインフラを提供したい。最初の一歩からサポートが必要な学校の場合、人手と時間がかかりすぎてしまい、浸透する時間が遅くなる」からだ。
■ 6年間で可能なかぎり拡げたい
2009年3月31日まで無償寄付されるのは、ヤフーBB12M利用料金・無線LAN使用料・NTT回線使用料の月額・計3638円と、ADSL契約料の800円。最大6年間での寄付総額は、262736円となる。(NTT東日本管轄の場合)寄付期間終了後は、解約または有償サービスに変更される。
寄付を受けた機関は、NTT局内工事料金(3050円/回線)と、設置工事等に発生した費用、BBフォン通話料利用請求書及び明細書発行費用(月390円・但し利用時のみ)の負担が必要だ。
寄付対象となるのは、国公立の保育園や幼稚園、小中高、大学、養聾盲学校、インターナショナルスクールや、図書館・児童館・公民館・市区町村教委など。