教育現場でのパソコンやプロジェクターの普及が急速に進む中、液晶ディスプレイの上から直接電子ペンで書きこめる液晶ペンタブレットの活用が注目を集めている。
これまで法人向けに展開されていた(株)ワコムの液晶ペンタブレットだが、授業で使えるとの声が先生方からあがり、昨年度から教育現場で導入されるようになったとマーケティング部部長の守屋潔氏は語る。
パソコンやプロジェクタに液晶ペンタブレットをつないで図形や地図を投影。液晶の画面にペンで描くと、その投影された画像に説明が書き込まれていく。操作感覚はノートに鉛筆で書くのと何ら変わらない。そうした使いやすさも受け入れられた要因となっているようだ。
「言葉の説明では、理解してもらえないものも画面に提示すれば一目で分かってもらえます。さらに、スキャナーを併用させれば、ノートの内容も提示できるようになり活用の幅が広がります」
ITを活用しながらも、それぞれの先生が、これまでの授業スタイルを変えることなく、ツールとして使いこなす姿がそこにはある。この1年間は先生方の声を聞きながら、液晶ペンタブレットのあり方を模索してきたが、いよいよ7月から教育機関向け専用モデルの発売を開始するという。
授業での使用を前提としているので、タブレット本体のファンクションボタンで、画面のスクロールや拡大縮小、マウスのクリック操作まで行えるのが最大の特徴。「ペンとマウスを持ち替える煩わしさがなくなり、生徒と向かい合って授業が進められるようになります」と守屋氏は説明する。また、教室間の移動を考え、従来の機種よりも軽量化が図られている。
初年度の販売目標は1万台と語る守屋氏。液晶ペンタブレットを導入することの最大の利点は授業の進度が早くなり、先生の負担が軽減されることにある。「黒板に書いたり消したりする手間が省けるので、授業の効率化が進みます。さらに、生徒の理解度のUPにもつながることは、文部科学省が唱えているITを使った分かりやすい授業の実現と言えるのではないでしょうか」と自信を持ってすすめている。