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新春INTERVIEW
J-KIDSで見えた学校HPの「解」
  ──伝える・つなぐ・残す
国際大学 主任研究員助教授
J-KIDS大賞実行委員
豊福 晋平氏
豊福 晋平氏
国際大学主任研究員助教授
J-KIDS大賞実行委員
豊福晋平氏
 J―Kids大賞が今年で4年目を迎える。応募は不要、学校HPをこちらから見に行き、評価観点に従ってドライに点数をつけていくという「前代未聞」のコンテストだ。その根本となるアイディアを出したのが、J―Kids大賞実行委員でもある豊福晋平助教授(国際大学グローバルコミュニケーションセンター)だ。立ち上げ当初よりJ―Kidsに関わってきた豊福氏に、最近の学校ホームページの傾向と、J―KIDS大賞の意義とこれからについて聞いた。

◇ ◇

 教育系のコンテストは、応募を集めるのに労力がかかり過ぎ、成功例が少ない。しかも、応募するために特別な活動が必要など、学校に負担がかかる場合も多い。そのデメリットを一切排したコンテスト、というコンセプトで始めたのがJ―Kids大賞です。

 J―Kids大賞の目的は、当初「教育の情報化の推進に貢献する」でした。地道に学校HPを更新、発信している取り組みに光を当て、評価していきたかった。それが、この3年間でスタンスや意義が徐々に広がってきています。

 3年間、学校HPをウォッチングし続け、見えてきたことは、「毎日学校から情報を発信していくこと」の「意義と効果」です。

 今は学校のマイナス面ばかりがニュースになる傾向が強い状況です。学校や教師のイメージが、悪い方向に偏りがちです。しかし実際に学校に入ってみると、熱心な先生も多く、素敵な活動を行っている学校もたくさんあるわけです。その情報は、なかなかメディアには取り上げられない。スキャンダラスな報道ばかりが取り上げられる。ならば、自分たちで発信していくしかない。そこで、学校HPが役に立つのです。

 これからは、学校に関わる全ての人――卒業生や地域の人、その学校の取り組みに興味を持つあらゆる人に、その学校が日常的にどのような活動を行っているのかを発信していくこと、それが教育活動として当然のことである、と考えていきたい。情報化の「解」は、その学校がどれだけ熱心に、魅力的な教育を日常的に行っているのか、その学校がどのような学校経営を行っているのかを如何に「見えやすい」状態にしていくことではないでしょうか。

 学校HPで情報開示することが学校を危険に晒すことにはならないか、という意見もありますが、逆の見方をすれば、その学校がどのようなことをしているのか、地域の人に開示することで、関心が高まり、協力が得やすくなる、という面をむしろ強調したいですね。地域ぐるみで学校安全の取り組みが必要といわれていますが、情報を発信し、その価値を周囲に認知させ、高めることは、学校経営に光を当てることにもなり、地域からの協力も得やすくもなります。

 そのようなベース造りに「学校HP」からの発信は非常に重要な役割を担っている、というのがこの3年間で得たひとつの結論です。

 「学校情報は学校便りや学級便りで発信しているから十分」と主張する方々に気づいてほしいことは、学校HPからの発信は、印刷物よりもずっと即時性が高く、かつ広範囲に、情報を得たいと思っている人に届けることが安価に出来る、という点です。

 また、「学校HP作りや管理は教員の仕事ではない」という意見もありますが、教育内容を広報することは、学校便りや学級通信などと同様に毎日の仕事の一貫であり、まわりからの信頼や協力を得るために必要である、とお伝えしたいですね。

学校ホームページで
 “学校経営”を地域に“発信”


 今回大賞を受賞した大森西小学校は、3年間連続の受賞でした。審査の過程でも議論になりましたが、1年目と「同じ」レベルのHPでは、当然受賞はしていません。毎年毎年の確実な成長ぶりは、やはり群を抜いていました。

 1年目は先生方が中心に制作したHPでした。2年目からは、委員会活動の一環として子どもたちが発信源となっていました。今回はブログを取り入れることで、より自由に多くの子どもたちが発信できるようになったのです。トラックバックで小学校同士の交流も活発化されています。

 通常、学校HPは「管理者が大変」「維持や更新が大変」といわれていますが、大森西小の成功例は、保護者や生徒が活動・発信しやすいという点で非常に示唆的なモデルであると言うことができます。表彰式当日も、その様子を会場内で即HPにアップしている姿が印象的でした。

 5月の連休明けから、新年度の選考が始まります。評価観点はJ―KidsのHPに開示してあります。構造化された評価観点は、これから学校HPを作る学校や、さらにバージョンアップさせたい学校にとって、実質的な指標となるはずです。今現在の取り組みが即反映されますので、学校HPからの発信を積極的に行って頂き、新しい候補校が多数出てくることを期待しています。

J-KIDS小学校ホームページ大賞

【2006年1月1日号】