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INTERVIEW 「学校ITと確かな学力」22
思考力つける“ノウハウ”示す
  ──映画「未来の学校プロジェクト」で
(株)プロシード
西野 弘氏

(株)プロシード 西野弘氏
 マネジメントコンサルタント会社「プロシード」(本社・東京都)の西野代表は、ライフワークとして学校のICTを活用した新しい教育のモデルの必要性・重要性を説き、かつ具体的な方策を示すなど、民間人として学校現場に入り込んだ活動を8年以上行ってきた。

 ところが、「予想したほど学校現場は変わっていかなかった。3年ほど前、その現実に挫折感を感じ、一時期活動を停止していました」

 「ICTを効果的に活用する教え方のモデル・方法論が確立していないから、中途半端になってしまい、成果が出にくく、効果も表れない。調べ学習も、教える側が目的を理解していないから、数回やれば教師も生徒も飽きてしまう。だから、面白い授業を組み立てられない。ICT化によって、学校環境などは変化したけれど、学ぶ側教える側の変化は見られたが、進歩はなかった」というのが当時、多くの時間と私財、情熱を学校のICT化に傾けた西野氏が出した苦い結論だ。

 しかし民間人として学校に入り込んだ活動歴は長く、学校内での「プロジェクトマネジメント」を早くから提唱、実践してきた実績は大きい。

 学校全体としての「進歩」はともかく、実際に接触した教員や生徒らの「進歩」を助力したことに対しては、自信がある。

 その成果を、なんらかの形で残し、心ある先生や教育者へのヒントになれば。そう考えて半年以上かけて制作したのが、ドキュメンタリー映画「未来の学校プロジェクト」だ。

 「未来の学校プロジェクト」は、富山大学での講義や福井大学付属小での教育実践などのドキュメンタリーだ。

 「自分の意志で決定し、自分の能力を活用し、かつ社会参加できる自立した個人の育成」を目標として、ICT活用と新しい教育手法が映像化されている。

 福井大付属小で行った「ロケットプロジェクト」は、「ロケットを作る」ための計画・実施・評価・調整改善という4つのプロセスを体験し、プロジェクトマネジメント力を身に付けることが目的だ。子どもらはそのプロセスを意識して活動を行っていく。けっして「性能の優れたロケットを作ること」が目的ではない。

 「子どもたちの動きは期待以上だった。二日間で驚くほど進歩した」と西野氏。

 ここにICT活用の授業の可能性がある。教育のスピードと密度そして質を高める促進剤になるのである。

 「『〇〇せよ』という指導では、子どもらは考えなくなる。『なぜ』このことをしなくてはならないのか、『どう』していけばいいのか、教師・生徒両者に考える力をつけていくには、考えさせるための指導・ノウハウが必要だ」。しかし、その「プロセス」の具体的なノウハウが分からない。そこに悩む教育委員会や教師にとって、西野氏の教育実践は大きなヒントになる。

 「『未来の学校』とは、自らどう学ぶべきか『考える』こと。学ぶ側が主人公だ」、と西野氏。

 「韓国やシンガポールはICT化で劇的に変わっている。日本だけが何故変わらないのか」。

 そこに問題点を焦点化すれば、解決の糸口が見えてくると信じたい。


※ドキュメンタリーDVD「未来の学校プロジェクト」
■問合せ (株)プロシード info@proseed.co.jp

 (取材 西田理乃)

【2005年9月3日号】