第3回全日本小学校ホームページ大賞(J−KIDS大賞2005)が5月10日より開催されている。今年で3年目を迎える当コンテストは、全国の小学校HPを対象とした、日本最大の小学校HPコンテスト。その最大の特徴は「応募不要」「ボランティアによる運営」だ。「J−KIDS大賞」立ち上げ前より関わってきた佐藤正敏取締役に、取り組みの意図と、3年目を迎えて見える変化について聞いた。
株式会社損害保険ジャパンは、2002年7月、安田火災海上保険、日産火災海上保険が合併して出来た会社です。そのエネルギーを何らかの社会貢献に向けることで、一層団結を高め、ベクトルを揃えられないか、と考えたのがきっかけでした。その際、慶応大学の村井純先生から「IT甲子園」というアドバイスをいただき、始まったのが「J−KIDS大賞」です。
応募を前提とせず、可能な限りインターネット上に公開されている小学校HPを探し出し、一方的に選考を行う「勝手選考方式」のコンテストです。昨年の選考対象数は1万5035校、その選考に関わった社会人ボランティア総数は1077名でした。
応募不要にした理由は、学校HPは「日常的に運営されるもの」であり、「応募のために特別に無理をして欲しくない」からです。
初回は本当に大変でした。1校分を閲覧するのに1時間かかることもありました。初回はボランティア500人前後、1人あたり少なくとも20校を見るという分担で、ボランティアとしての活動としては、かなりの負担だったと思います。今年は方法を変え、05年1月以降更新されていないHP、正式校名(〇〇市立等の表記も必須)がトップページにないHPなど、基本条件を満たさないHPは、選考作業を途中で打ち切ることとしています。
▼特徴・顕著な変化は 初回から今回まで見てきての顕著な変化は、まず、更新頻度が高くなり、掲載内容も変わってきました。
当初は、先生方の教育研究に役立つ資料のアップなどが多かったのですが、最近では学校情報の発信が中心です。その日の給食メニューを保護者が自宅や会社のPCや携帯電話でチェックできるなどといった仕組みが整ってきているようです。
特に、過疎地など地方の学校HPでは少人数をいかしたHPづくりをしており、「発信しよう」という意欲が感じられ、コンテンツも非常に充実していました。全国にアクティブな先生がたくさんおられることを強く感じました。
▼学校HPの役割は 一つは、現在の学校の様子を知らせる役割。次に、保護者や地域の方との「コミュニケーションツール」としての役割。携帯電話などを使って閲覧したり、掲示板などで意見を交換出来る仕組みが整いつつあります。3つめが、卒業生などが訪ね、過去の情報を得ることが出来る「データベース」としての役割です。
「J−KIDS大賞」の認知度は、3年目にしてかなり上がりました。当コンテストをきっかけにし、全国小学校のHP制作に何らかの刺激を与えることが出来れば、と考えています。最終的には、小学校HPにおける「甲子園」のような存在になれると良いですね。
(取材 西田理乃)
【2005年6月4日号】