「売り上げに直結するeマーケティング」をコンセプトに、インターネット広告事業で着実に成果を上げ、設立して10年だが現在年43億円(2003年12月期)もの年商を上げる、オプト。デジタルハリウッド大学院の講師として「インターネットマーケティング」の講義も担当している海老根代表に、どのような人材が求められているのかを聞く。
「企業のeマーケティング活動支援とは、先端技術とITを活用したマーケティング。ここで最も必要とされる能力は『IT技術』そのものではなく、顧客とコミュニケーションをとりながら問題点を発見し、それを解決していく力。必要なのは“問題解決型の人材”」です」。
オプトの企業理念は「ベンチャー」から始まる「自立型人材の集合体」だ。インターネット上で、これまでにない流通構造や仕組みを考え、顧客のニーズを満たす提案をして、新しい価値を創造すること。新しい価値を提供することで対価を得ることができるのであり、それには「チャレンジ」精神と「変革」の継続が必要だ、という。
具体的には、ターゲット層に合わせたWEBサイトの使い勝手を向上させるとともにアクセス数を向上さるなどせ、かつ収益を上げていくための「仕組み」を作り、その維持発展をフォローしていく。ゴールをどこに置くかを決め、顧客に満足する結果を提供することが必要である。
「新しい仕事は、常に『現場』が作るもの。逆に言えば、会社から言われたことだけをやっている人材では、仕事を『作る』ことができません。チャレンジして成功すればラッキー。仮に失敗しても、学ぶことが多いから、結果的には成功。最も危険なのは、何もチャレンジしないこと」。
人材採用における評価項目の優先順位は「前向きな思考」「熱意」「能力」の順だ。能力があっても前向きな思考がなければ、評価は低いという。
「インターネット・マーケティングの知識やIT技術は、入社してから教えます。それらの知識以上に重要なのは、論理的に語る力、考える力、問題を発見し、それを解決していく力です」。
そのような力をつけるための教育を、オプト社内の研修講師以外に大学院教員としても展開している。
「『考える作業・工程』を重視し、グループワークを積極的に行なっています。グループワークを通して受講生に理解させ、コミュニケーションをとる訓練を心がけています。また、インターネット業界自体の理解のために、最新事例を常に提示しています」。
授業の際はIT機器をごく当たり前に使う。最新事例をネット上で探し、考える作業に時間を割くためにも、プレゼンテーション資料を予め作成し、効率的に授業を展開していく。そのプレゼンテーションの手法は、そのまま学生らにとって、プレゼンテーションの学習ともなる。
一方で、基礎知識教育も重視している。
「授業では『定義や基礎知識』にもこだわっています。現場で明確に指示をする、意見交換をするときの共通言語となる土台として、言葉の共通認識は重要です。また、相手が言葉の意味をきちんと理解していなかった場合、そこで相手にもわかるようにきちんと説明できなければなりません」。
ビジネスを「作っていく」それを「維持していく」ために必要な力の具体的な提示は、「社会で活躍できる力」を育成していかなければならない学校現場に携わる者に、示唆を与える。
(取材 西田理乃)
「社会で必要とされる力とは」
●情報収集し、問題がどこにあるのかを見つける力
●考えたことを論理的に語る力
●コミュニケーション能力
●新しい価値を創造する力
<プロフィール>
海老原智仁 (えびね・ともひと)
・慶應義塾大学経済学部卒、
産能大学大学院経営情報学研究科(MBA課程)卒、
中小企業診断士。2001年より現職。
【2004年12月4日号】