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INTERVIEW 「学校ITと確かな学力」11
大学の役割は
知財の生産
東京工科大学
田胡和哉助教授
東京工科大学 田胡和哉助教授
 東京工科大学では、平成16年度より5年間、文科省の私学高度化助成で「Linux」を用いた高度技術者育成の実証実験を行っている。学生や技術者の「生活」まで支援、オープンソフトウェアの開発に専念してもらおうというもので、ツ・ベルリン工科大ほか海外の大学とも連携を予定している。大学としては珍しい試みだ。

■ビジョンのある人材育成を

 東京工科大学では、学生の入学時、LinuxベースのノートPC所有を義務づけている。コンピュータサイエンス学部ではネットワーク環境も充実、コンピュータリテラシーをLinuxベースで行う。

 「日本のソフトウェア産業が生き残れるか否かは、人材育成にかかっている。研究者ではなく、高度専門家を育成したい。コーディング(プログラミング言語でソースを記述すること)ができるようになるだけでは、人材育成とはいえない。プランニング、プロモーションスキルを身に付けたビジョンのある人材が必要であり、その訓練を行うためには、大学自身のニーズに基づいた具体的な開発対象を設定することが必要」と田胡氏は述べる。

 ◇ ◇ ◇

 大学の最も重要な使命の一つは「知財」の生産・蓄積・継承であり、「その時に有用なのが、ITの技術。情報を共有し、再利用、蓄積、継承していくことがこれまでと比較し、容易になる」。その実現のために東京工科大が選択したのがLinuxだ。とりわけヨーロッパやアジアがLinuxに対する国の力の入れ方は大きいといわれており、海外との連携も視野に入れたとき、情報共有が容易になる。

 「これから必要とされる情報共有形態は、一つがアーカイブ型。得られた知見を全てITの技術で蓄積、必要なときに誰でもがすぐに手に入れることができる。もう一つが、グループウェア型。研究など、チーム内の連携をスムーズに進行できる」。

 東京工科大では、この「グループウェア型」の方式を研究の主眼としている。「例えば講義を収録しEラーニング化する際、・収録講義・・アーカイブされたイラスト・映像・・問題の挿入・などを・編集・していく必要がある。・編集・のためには、各分野のエキスパートの連携が必要。そのとき、パワフルなデータ共有機構が必要になる」。

 「パワフルなデータ共有機構」の実現は「表現力の向上、コンテンツの価値の向上、参加型教育の具体化、コンテンツ作成効率の向上」の実現と供に、プロのコンテンツ制作過程や研究プロジェクト管理がグループウェア化し、かつ知財の蓄積・共有を容易にする。

 「情報共有のための使いやすいツールがあれば、それは同時に知識継承の手段ともなる。それを可能にするシステムの構築を通じて海外に通用するプランを作成できる人材を育成していきたい」。


「学校ITは学力にどんな影響を与えるのか」
 パワフルなデータ共有が可能になることで
 〇表現力が向上する
 〇コンテンツの価値が向上する
 〇参加型教育が具体化する
 〇コンテンツの作成効率が向上する


<プロフィール>
 田胡和哉  (たご・かずや)
 東京工科大学コンピュータサイエンス学部助教授。
 筑波大学大学院工学研究科博士課程終了、工学博士。
 筑波大学電子情報工学系助手、東京大学工学部助手、日本IBM東京基礎研究所を経て、
 2002年より東京工科大学。



【2004年7月10日号】