電子情報ボードに触れるのが好きな子どもたち。デジタルコンテンツを使う前にワークシートを映し出し発表。思わず笑みがこぼれる |
「何の観察をしてきましたか」先生の問いかけに「ツキー」子どもたちが一斉に応える。「気付いたことは何かありましたか」と聞くと「月が本当に動いていた」「東から西へ動いていきました」と元気な声が上がった。静岡県浜松市立平山小学校は全校生徒77名、一人一人の児童の顔が見える学校だ。10月24日、菊地寛先生(2年生担任/3・4年理科指導)は、理科室にノートパソコンを持ち込み、大日本図書の「教師用指導書別冊IT活用編」とNHKの教育用コンテンツ(オアシスプロジェクト)を活用して4年生理科「月は動くのだろうか」の授業を行った。
子どもたちは電子情報ボードの書画カメラ機能を使いながら、1時間ごとに月の位置を書き留めた各自の記録ノートを大写しにして報告している。本時前に児童らは宿題として、それぞれの家庭から半月(はんげつ)がどの位置に見えたのか、月の傾きや時刻、方位について1時間おきに3回の定点観察を実施している。
各自の報告を受けて菊地先生は「半月はどのように動くのか考えよう」と本時のめあてを示し、観察からどのようなことが考えられるか、改めて子どもたちに話し合わせながら予想とその理由をノートにまとめさせた。
「わからなくなったら、PCの映像を確認しても良いですよ」と前もってNHKの動画クリップをダウンロードしたノートPCを指し示すと、子どもたちはディスプレイに鈴なりになって半月の動きを確認。家庭からの観察で得られた結果をデジタルコンテンツで再度振り返り、導き出された予想を深めるのに役立てた。
動きのあるデジタルコンテンツを使うと子どもたちの集中力は一段と増す |
それぞれの予想の発表を経て、菊地先生は電子情報ボード上にデジタルコンテンツを提示しながら、東の空から南を通り西の空へ沈んでいく月の様子を説明する。その中で提示した「IT活用編」のコンテンツ昼間の月の観察≠ナは、定点撮影した月が右肩上がりに西へと動くに従い日が暮れていく周囲の様子が見て取れる。真剣な眼差しで画面を見つめる児童の中から、すかさず「だんだん暗くなってる」と声が上がった。
授業を通して、NHKの短い動画クリップで子どもたちの耳目を集め、「IT活用編」の静止画を用いて説明を加えるなど、内容や流れに応じてコンテンツを使い分ける工夫がなされていた。
また本時の指導範囲にはなかったが、月の満ち欠けに興味を持つ児童が多かったことから、菊地先生は「IT活用編」の月の満ち欠け≠用いて28日間で一巡する月の特徴や三日月、上弦の月、満月の実際の画像を紹介した。さらにYahoo!キッズの月齢カレンダーのコンテンツで、授業日や翌日の月の様子を示し、子どもたちに観察への意欲付けを図った。
メニューから入るので初心者でも使いやすい‘IT活用編’。 授業の進度に合わせて発展的内容も説明できる |
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平山小学校では昨年9月、全教員にノートPCが配布され、全教室からインターネットに接続できる環境が整った。今年に入りプロジェクターとマグネットスクリーンも導入され、教師用ノートPCを活用して授業を行う先生も増えたという。
精細なデジタルコンテンツを大きく提示して説明する 菊地寛先生 |