日本情報教育開発協議会(JADIE 会長・岡本敏雄)は2005年12月10日(土)、「科学・技術立国再構築―骨太・情報教育の役割」第2回フォーラムを東京都上智大学で開催した。
特別講演「教科 情報の成果と課題」で、文部科学省情報教育教科調査官の永井克昇氏は「『教育の情報化』が『情報教育』と『IT活用』双方の意味を持つことを学校に浸透させることは、極めて重要。また、義務教育諸学校及び高等学校のそれぞれの段階の指導において達成すべき目標が明確とはいえず、各学校段階・学年段階で指導すべき内容を、高等学校の普通教科『情報』及び中学校『技術・家庭』を含むどの教科等で指導すべきかについて、整理が不十分である」と述べた。
中央教育審議会・教育課程部会家庭・技術家庭・情報専門部会では「小中高の連携のために、各校種で何をすべきかを示すべき。内容を身近なものにするなど意欲を喚起することが大事」という意見がまとめられている。また、専門教科「情報」に関しては、「普通教科『情報』」の見直しとの関わりや、工業・商業とのすみわけ、科目構成や学校設定科目との関係などが課題となっていると報告された。
■「プログラム」は中学段階で
「情報モラル」は小学校で パネルディスカッション「次期教育課程の改訂に向けての情報教育のあるべき姿」では、岡本敏雄会長(電気通信大学)をコーディネータとし、筧捷彦氏(早稲田大学)、香山瑞恵氏(専修大学)、高橋参吉氏(千里金蘭大学)、山岸正明氏(鳥取大学)がパネリストとして参加。
筧氏は「情報を扱っていく中で、プログラムという仕組みがあるという認識を児童生徒にわからせるためにも、構築について教えるべき。それには学校教員をトレーニングする必要がある」と指摘。山岸氏は「小学校段階では情報モラルを中心に、中学校段階では、新教科として『情報』の新設を」と意見を述べた。また、高橋氏は「小学校段階では、表現力とコミュニケーション能力を育成し、情報モラルを身に付けさせる。中学校段階では、ソフトウェアのプログラミングについても触れる必要があるのでは」と提言した。また、香山氏は「コンピュータ教育に縛られることなく情報教育を推進する可能性」について指摘した。
参加者からは「児童生徒の到達点だけではなく、教職員のスキルの到達点を明示することで、スキルアップを図る必要がある」「高校の情報を確立するためには、大学入試に『情報』を取り入れる必要がある」など様々な意見が出た。
▼JADIE 日本情報教育開発協議会。高等学校教科「情報」を中心とし、情報教育の推進と充実した研究活動の環境整備を図ることを目的に設立。以下5つの委員会を中心に活動を行う。
(1)カリキュラム委員会 情報教育カリキュラムの内容研究
(2)コンテンツ開発委員会 良質なコンテンツの開発・流通(教材研究を重視)
(3)情報モラル委員会 情報教育とセキュリティ
(4)e-Learning・研修委員会e-Learningと教員向けITスキル研修
(5)産学協同研究委員会 学校と企業との情報交換会の開催
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【2006年1月1日号】