“個”の確立めざす
フェリス女学院
各大学でキャリア教育の取り組みが進み、就職率の向上に効果が見えている。
フェリス女学院では、80〜90%の学生が就職に関心を持っており、かつ漠然とした危機感を感じているという。そこで、キャリア教育の取り組みのひとつとして、「地球の裏側で起こっていることを意識できているか」「社会の中での存在意義を感じているのか」など個の確立を促進させる取り組みを心がけている。
1年次には「何のために大学に来ているのか」をテーマとし、2年次にはインターンシップを実施、社会とのつながりをイメージさせるよう、大学の授業では少人数制を取り入れ、ロジカルシンキングやコミュニケーション能力育成を計っている。少人数とすることで、自己肯定感が少なく「疑問はあるがその疑問を口にすることに価値があるか判断できず、質問できない」学生に安心感を醸成することを目的とする。
1996年にスタートしたインターンシップは、10日間から1年間(3日/週)実施、評価項目を企業側に渡し、学生評価を依頼している。過去10年間で、インターンシップの離脱者はゼロだ。また、土曜にはマナー研修やコミュニケーション能力を育成するワークショップを行っている。ゲストティーチャーは、前期13回で120名が参加した。
徹底的に“姿勢”問う
関東学院大学
関東学院大学では、過日行ったインターンシップ説明会に、学生が500名も集まった。そこでガイダンスを行い、インターンシップの厳しさについても強調するレクチャーを実施したところ、希望者が200名に減ったという。その後マナー研修を行ったところ、さらに140名に減少した。徹底的にヤル気や取り組み姿勢を問う教育を行っている。絞り込んだ結果、インターンシップの離脱者はゼロであった。
同大学でも評価表を作成、企業に評価依頼を行う。受け入れ企業は毎日チェック。インターンシップ報告会では受け入れ企業担当者を招待、学生がプレゼンテーションを行い、担当者らから講評をもらった。インターンシップへの学生のモチベーションを高めることで、企業との信頼関係構築にもつながり、就職率向上にも貢献した。
現在、企業関係者講師による「インターンシップ講座」を設置、単位を認定している。また、同大学の人間環境学部では、インターンシップ後、外部の刺激を受けることで積極性が増し、プレゼン力などがつき、その結果就職率もアップした。
また、工学部では教授3〜4名が手の空いた時間に補習授業を行ったり、在学生で、相談役になる学生をボランティアで受け入れ、就職が決定後、ボランティア参加した人を集めて後輩の面倒を見させるなどリメディアル教育を実施している。
【2006年1月1日号】