昨年12月、京都府宇治市の学習塾での事件発生以来、塾に子どもを通わせる保護者の不安が大きい。これを受け経済産業省は3月16日、「学習塾に通う子どもの安全確保ガイドライン」を作成した。全国学習塾協会など関係機関との協議によるもので、1.通塾時の安全確保、2.塾教職員の資質向上、3.安全を重視した塾の学習環境整備の3点を柱にした、学習塾が遵守すべき共通の基本方針とした。ガイドラインの内容は次の通り。
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【通塾時の安全確保】
- 子どもの通塾経路・方法を提出させ危険箇所などを子ども・保護者が共通認識する
- 不審者情報などを警察・学校と連携し、収集・提供する仕組みをつくる
- 保護者付き添いの通塾を奨励し、塾教職員も入退出時に声かけして安全確認する
- 防犯ブザー・位置情報端末・携帯電話などの携帯推進と使用方法の指導をする
【教職員の資質向上】
- 履歴書に不備・不明・不整合な点がないか確認し、内容を可能な範囲で検証。面接機会の複数化や時間の十分な確保
- 塾内に安全教育責任者を置き、教職員に子どもの安全に関する教育を行うと同時に、理解確認の試験を行う
- 教職員は子ども・保護者の関係では倫理的行動に努める
【塾における安全な学習環境の整備】
- 塾内に業務監督責任者を置き、業務日報、教室巡回等の方法で教職員の業務・行動を確認する
- 全ての教室に防犯ベル等を設置する、内側から施錠できないようにする、死角をなくすなどの安全対策を講じる
- 不審者侵入時や事故・災害時の教職員の役割分担を明らかにすると共に、保護者との緊急時連絡先リストを作成し、厳重に保管する
- 危機管理マニュアルを作成し、防犯訓練等を実施する。
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協会は今後、同ガイドラインをもとに、さらに詳細・具体的なガイドラインを作成する方針だ。
【2006年3月25日号】