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情報セキュリティ対策特集
実効あるセキュリティポリシー作成
東京都北区立赤羽台西小学校

 「個人情報漏えいの事件が報道されたりするたびにセキュリティ対策の必要性を先生方に話しています。一般的に、教師は情報セキュリティに関してはどこか他人ごとっぽい感じがあります。管理職がきちっとしたポリシーをもって職員に伝えていかないとなかなか浸透しない。そのためには、セキュリティポリシーをどんな形でもかまわないので、きちっと成文化して全職員に見える形にすることが大切でしょう」。

 東京都北区立赤羽台西小学校主幹の野間俊彦先生は、行政や企業主催のセミナーで情報モラルの講師を務めたり、文部科学省の検討会議の委員になるなど、教育の情報化推進に先駆的に活躍。赤羽台西小学校では、各教科、領域、総合学習で「情報コミュニケーション能力」の育成を図っているほか、3年生以上では年間35時間「情報の時間」が設置されている。

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安全性と使い勝手の良い校内LANを
 同校は、平成11年に職員自らが自前で整備した有線LANと平成15年に北区が整備した無線LANにより、すべての教室、職員室、校長室、事務室からインターネットに接続できる。パソコンは、普通教室にも3台ずつ設置されている。

 「はじめは、児童用のネットワークと校務用のネットワークを切り分け、1部共有部分を作り、教室にあるパソコンでは校務部分にアクセスできない形にしていました。セキュリティは保たれていましたが、それだけだと使い勝手がよくない。そこで、『Hardlockey』を導入し、教員だけはいつでもどこでも校務部分にアクセスできるようにしました」

個人情報の管理を万全に
 野間先生がジェイエムシー社の学校内LANセキュリティ支援ツール「Hardlockey」を導入したのは平成15年10月に遡る。

 「児童の個人情報に関わる名簿や住所録の管理をきちんとしたかったのです。個人情報が漏えいすると、大変なことになりますから」

 Hardlockeyは、長さ5センチ程度の小さなUSB「認証キー」を、パソコンのUSB端子に差し込みパスワードを入力しログインすると、校務用ネットワークに切り替わり、個人情報などの大切なデータの入ったサーバ(校務用サーバ)へのアクセスを可能にするシステム。パソコンに認証キーを差さなければ、校務用サーバにアクセスできないだけでなく、サーバの存在も見えない。

 一方で、認証キーを差せば校内のどのパソコンからも校務用サーバにアクセスできる柔軟性がある。

 「認証キー」は先生一人に1本配布しているが、校区に公務員宿舎ができ、昨年4月に児童が約100名転入してきて、教員も5名増加した。そのため、スタンドアロンでも使用できる「Hardlockey Personal」との併用を予定している。同製品は、ファイルを暗号化し、認証キーがないとファイル操作を不能にする機能を持つ。

 「どうしても家に持ち帰えらなければならないデータは、ファイルを暗号化して持ち帰ることができます。仮に盗まれても、暗号化されているので、データは守られるわけです」

 「『データの持ち出し禁止』と原則だけ決めるのではなく、現実と歩み寄ったポリシーにすることが必要でしょう」と野間先生は実効的なセキュリティポリシーを求め、そうした同小のセキュリティポリシーが近く成文化される予定だ。

 ところで、昨年4月から施行された個人情報保護法に関連して、電話連絡網を止めた学校もある。同小では、その継続について賛否を保護者に問い、継続することになったが、「個人情報に関する封筒」を作り、保護者と個人情報に関わるデータの収受をする際にその封筒の中に入れてもらうといった運用ルールを作り、学校側と保護者の両者で意識付けを行っている。

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【2006年3月4日号】


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