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「IT新改革戦略」より抜粋
(3)人材育成・教育

次世代を見据えた人的基盤づくり
−すべての教員へのIT機器の整備、IT活用による学力向上−


現状と課題

 急速な社会のIT化の進展の中で、我が国が引き続き国際競争力を持ち続けていくためには、我が国の次世代を担う子どもたちが、初等中等教育の段階からITに触れ、情報活用能力を向上させる環境の整備を進めていくことが重要である。

 これまで学校では、各種IT機器の整備が推進されているが、教員用コンピュータ整備の不足、校務のIT化の遅れ、学校のIT機器の保守・点検等を行う人材の不足などの問題があり、学校現場のIT化による改革が十分に進んでいるとは言えない。

 今後は、学校におけるIT環境の一層の整備を進めるとともに、ITを活用した学力向上等のための効果的な授業の実施や、学ぶ意欲を持った子どもたちがITを活用して効果的に学習できる環境の実現などが期待されるが、そのためには、教員のIT活用能力を一層向上させるとともに、優良な教育用コンテンツの整備を進めていくことなどが必要である。

 さらに、昨今、インターネット上の違法・有害情報に起因する問題が相次いで発生するなど、子どもの頃から情報内容を判断できる能力等が必要とされてきており、情報モラル教育等を始めとする情報教育の見直しを行い、初等中等教育の段階から児童生徒の情報活用能力を向上させていくことが求められている。


目標

  1. 教員一人に一台のコンピュータ及びネットワーク環境の整備並びにIT基盤のサポート体制の整備等を通じ、学校のIT化を行う。
  2. 教員のIT指導力の評価等により教員のIT活用能力を向上させる。
  3. 自ら学ぶ意欲に応えるような、ITを活用した学習機会を提供する。
  4. 教科指導におけるITの活用、小学校における情報モラル教育等を通じ、児童生徒の情報モラルを含む情報活用能力を向上させる。

実現に向けた方策

  1. 2010年度までに全ての公立小中高等学校の教員に一人一台のコンピュータを配備し、学校と家庭や教育委員会との情報交換の手段としてのITの効果的な活用その他様々な校務のIT化を積極的に推進する。また、校内LANや普通教室のコンピュータ等のIT環境整備について早急に計画を作成し、実施するとともに、学校における光ファイバによる超高速インターネット接続等を実現する。
  2. 小中高等学校等において情報システム担当外部専門家(学校CIO)の設置を推進し、2008年度までに各学校においてIT環境整備計画を作成するなど、IT化のサポートを強化する。
  3. 2006年度までに教員のIT指導力の評価の基準の具体化・明確化を行い、それに基づき、ITを活用した教育に関する指導的教員の配置や、教員のIT活用能力に関する評価をその処遇へ反映すること等を促進することにより、全ての教員のIT活用能力を向上させる。
  4. 2006年度までにITを活用した分かりやすい授業方法や、児童生徒の習熟度に応じた効果的な自習用コンテンツの開発・活用の推進等により、教科指導における学力の向上等のためのITを活用した教育を充実させる。
  5. IT社会で適正に行動するための基となる考え方と態度を育成するため、情報モラル教育を積極的に推進するとともに、小学校段階からの情報モラル教育のあり方を見直す。

評価指標

  1. 教員へのコンピュータ整備率
  2. 学校における超高速インターネット接続率、校内LAN整備率及びコンピュータ1台あたりの児童生徒数
  3. 学校における学校CIO及びIT環境整備計画の有無
  4. 教員のIT活用能力の評価や指導的教員の配置等、IT活用能力を反映した教員の処遇を行っている自治体数
  5. ITを活用して授業が行える教員数

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【2006年2月4日号】


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