小泉総理を本部長とするIT戦略本部は1月19日、e―Japanに続くIT戦略として「IT新改革戦略」を決定した。2010年度を目途に、「持続的な発展が可能な自律的で、誰もが主体的に社会の活動に参画できる協働型のIT社会」に日本が変貌することを目指す。
具体的には医療、環境、防災、道路交通、電子行政、企業経営におけるIT利用を進める。そのためのIT基盤として、フレンドリーなIT技術、ユビキタス化、情報セキュリティ対策、人的基盤づくりに力を入れる。
IT新改革戦略では、各項目ごとに「現状と課題」「目標」、「実現に向けた方策」、「評価指標」が示されている。その中で、教育分野の目標、実現に向けた方策では、「1.2010 年度までに全ての公立小中高等学校等の教員に一人一台のコンピュータを配備し、学校と家庭や教育委員会との情報交換の手段としてのITの効果的な活用その他様々な校務のIT化を積極的に推進する。」、「2.小中高等学校等において情報システム担当外部専門家(学校CIO)の設置を推進し、2008 年度までに各学校においてIT環境整備計画を作成するなど、IT化のサポートを強化する」と記述した。
◇ ◇
小泉純一郎首相は1月20日、施政方針演説で教育の問題に触れて、「日本を支えていくのは『人』である」「『物で栄えて心で滅ぶ』ことのないよう」心豊かでたくましい人材の育成を強調した。その方法として、社会全体で育てる、習熟度別指導や学校外評価、学校選択性の普及・推進、などを示した。
以下、教育に関する演説部分の概要。
「人間力」の向上と発揮
「今後の日本を支えていくのは『人』であります。『物で栄えて心で滅ぶ』ことのないよう、新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい人材を育てていかなければなりません。 教育基本法については、国民的な議論を踏まえ、速やかな改正を目指し、精力的に取り組んでまいります。
『社会の中で子供を健やかに育てる』との認識に立ち、学校だけでなく、家庭や地域と連携しながら、体験活動や触れ合い交流を通じて命の尊さ、社会貢献の大切さを教え、道徳や規範意識を身に付けることを促します。
豊かな心と健やかな体の育成に、健全な食生活は欠かせません。食育推進基本計画を策定し、食生活の改善に加え、我が国の食文化の普及、地元の食材を使った給食の推進など、食育を国民運動として展開してます。
教育現場の創意工夫を促すとともに、習熟度別の指導、学校の外部評価、保護者や地域住民の学校運営への参画、学校選択制の普及を通じて、教育の質の向上を図ります。
定職に就かず臨時的に仕事に従事しているフリーターや、学業・仕事・職業訓練いずれにも就かないニートと呼ばれる人が増加しています。民間の力を活用して研修を全国で実施するなど、若者の就業を支援します。」
[関連記事]
・「IT新改革戦略」より抜粋−(3)人材育成・教育(060223)
【2006年2月4日号】