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英語特集

進む小学校英語への取り組み

品川区 独自の教材を開発〜教育特区や開発校も
 東京都品川区は平成18年4月からすべての区立小・中学校で小中一貫教育をスタートさせ、小学校に「英語科」を設置し小学校1年生から英会話活動を導入した。9年間を4―3―2年のまとまりで教育課程を編成し、英語については「外国の文化を受け入れ、聞く・話すなど、実践に生きるコミュニケーション能力を身に付ける」ことを目標に、9年間一貫した学習を展開する。各段階の目標は、1〜4年生「親しむ」、5〜7年生「身に付ける」、8〜9年生「活用する」と位置づけた。

 その英語教育を展開するため、独自の英語科教材LetS Enjoy English Communication≠作成・販売している(発行=小学館プロダクション)。1・2学年用、3・4学年用、5・6学年用の3分冊(各1万2000円)で、担任とALT(外国語指導助手)で英語によるコミュニケーション活動を行う「英語活動のためのテーマ別アクティビティ集」(指導計画・ワークシート等)と音声教材(CD)からなり、▽あいさつ・自己紹介▽好み▽クイズ▽身のまわり・生活、など12のトピックで構成されている。

 横浜市でも、それぞれ5つの小中学校が文部科学省の研究開発学校として、9年間を見通した英語教育の研究をはじめた。小学校の全学年に「英語科」(年間20〜35時間)を新設し、小学校教員と中学校英語科教員との協働、ALTや英語のネイティブスピーカーではない外国人講師、外部指導者等との協同授業等、指導体制の在り方についての研究を平成20年度まで行う。

 研究開発学校では、これまでも小学校及び小中連携の英語教育の研究を多様な形で進めてきた。例えば、愛知県西尾市立寺津小学校、寺津中学校では、小中学校全学年に「A・B・C科」を新設。9年間を4・3・2制に区切ることを視野に入れ、小学校階から教科担任制を一部教科で導入するとともに、小中学校教員のを越えた交流授業を積極的に取り入れた研究を平成18年度まですすめている。

 また、教育特区における取組みとして、宮城県角田市では市内全小学校で、1〜6年生に教科「英語活動科」を設置し、各学年週1時間の授業を実施。

 群馬県太田市は私立の小中高一貫校を開設し、小学校段階から「英語科」を設定するとともに、国語等を除く一般教科の授業を英語で行っている。

文科省 19年度予算に37億要求〜小学校英語整備に本腰
 2004年4月に設置されて以来審議を重ねてきた中央教育審議会外国語専門部会は、2006年3月に「小学校の英語教育の充実について」報告した。1)小学生の柔軟な適応力を生かす、2)グローバル化の進展に対応する、3)教育の機会均等を確保する、の観点から高学年において、「年間35単位時間(平均週1回)程度について共通の教育内容を設定することを検討する必要がある」とした。

 小学校の英語活動は文部科学省の調査(平成17年度)によると、2万803校(93・6%)で実施され、年間の平均実施時間数は学年が上がるごとに増加し6年生で13・7時間になっている。その8割近くが総合的な学習の時間で行われ、指導者は学級担任がほとんどだが、ALT・地域人材を活用した活動も、全体の76・5%で行われている。

 こうした中、文部科学省は平成19年度予算の概算要求で、小学校英語の充実に向けた条件整備に37億5000万円を計上、主に次の4つの事業の推進を打ち出した。

 1)近隣の学校のモデルとなる、小学校英語の拠点校2400校程度(10校に1校程度)と拠点施設620か所程度(各都道府県・政令指定都市に10か所程度)指定し、近隣の学校全体の水準の向上を図る。22億4114万円。
 2)小学校5・6年の全児童に配布する「英語ノート」・付属CDを配布、その教師用指導資料の印刷、「英語ノート」の電子化教材を開発・配布する。5億5646万円。
 3)指導者養成研修、及び各学校の代表者1名を対象にした中核教員研修、小学校の全教員を対象に研修資料を配布する。9億4673万円。
 4)小学校英語総合サイトを開設する。715万円。

 

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