文部科学省では、学校の安全管理の徹底の一環として、学校の安全管理の取り組み状況に関する調査を実施した。それによると防犯マニュアルの整備は全体で96・4%と、多くの学校が行っている。また学校独自の「危機管理マニュアル」を作成している学校の割合が80・3%と、前年より約5%アップした。
防犯訓練の重要性が指摘されているが、教職員に対し、防犯に対する訓練や研修等を実施した学校は76・6%。また、子どもに対し防犯に関する訓練や防犯教室等を実施した学校の割合は69・8%となっている。
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昨今は登下校時の事件も増え、改めて「防犯」の見地から「通学路」を見直す必要が指摘されている。これを踏まえ、通学路の安全点検を実施した小学校は96・2%であった。また、通学安全マップを作成している小学校60・3%。防犯ブサー(防犯ベル)を子どもに配布または貸与している学校は41・3%であった。
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今回調査で新規に調査された「地域のボランティアによる学校内外の巡回・警備が行われている学校」は49・3%。また、子どもの安全確保について、地域の警察と連携をとる体制を整備している学校は79・7%。警察と地域の人の意見交換ができる場の整備や学校の事情に応じた警察によるパトロールの強化や警察と連携した防犯訓練・防犯教室の実施、警察官や警察官OBの協力を得た学校安全体制の再点検の実施、学校と警察との間の非常時における通報体制の整備 地域内での不審者情報や事件の情報の共有化などが期待されている。
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学校の敷地内への不審者侵入防止のための対応を行っている学校は、72・5%。出入り口を限定し、登下校時以外は原則として施錠するなど門の管理を行ったり、登下校時など門を開けている間の教職員やボランティアの立会いによる子どもの安全の見守り、インターホン、侵入者のためのセンサーや防犯カメラの設置など門におけるハード面の対策や防犯カメラのモニターを意識的にチェックする体制づくりなどについて学校や地域の状況等を踏まえ必要な対応がなされている。
学校の敷地内での不審者の発見・排除のための対応を行っている学校の割合は75・4%。例えば門(敷地内)から校舎への入り口(受付)までの動線が明確になるよう、案内の看板の門(敷地入り口)周辺へ設置したり、動線を、職員室等から見通しがよく、また、児童生徒が活動するスペースと峻別した位置に設置する工夫が必要だ。教職員、地域のボランティア、警備員等による敷地内の巡回などについて学校や地域の状況等を踏まえ必要な対応。
校舎内への不審者の侵入防止のための対応をとっている学校の割合83・9%
来校者の誘導、校舎に必要のない出入り口の閉鎖など、原則としてすべての来校者の対応を受付に集中する体制づくりや、受付で教職員や地域のボランティア等が対応し、来校者をチェックしたり来校者にリボンや名札等を着用させる体制、来校者と応接できるスペースの整備など学校や地域の状況等を踏まえ必要な対応がなされている点が必要だ。
不審者侵入などの緊急時の教職員の役割分担の明確化、警察署・消防署等の関係機関や教育委員会等に対して直ちに通報がなされる体制の整備、必要に応じた通報システムの整備、安全を守るための器具の備えなど学校へ不審者が侵入するなどの緊急時に備えた対応を行っている学校の割合は85・2%
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防犯カメラ、センサー、インターホン(門や建物の出入り口等への設置)、認証装置のいずれかが学校や地域の状況等を踏まえ必要に応じて整備している学校は52・7%と昨年度調査より7・3%上昇。
また、校内緊急通話システム、警察や警備会社との連絡システム、防犯ベル・ブザー・非常押しボタン等(普通教室等校内への設置)、携帯型押しボタン(教職員への配布)等のいずれかを学校や地域の状況等を踏まえ必要に応じて整備している学校は80・2%と9%上昇した。
警察庁は、「『子ども110番の家』地域で守る子どもの安全対応マニュアル」を作成し、同庁サイトで配布している。これは、「子ども110番の家」が子どもの駆け込み時の対応方法を記したもの。緊急対応時、子どもからどんなことを聞き出し、どう対応すればよいか、保護時の行動の流れをまとめている。
子ども110番の家マニュアルは以下よりダウンロードできる。
「子ども110番の家」地域で守る子どもの安全対応マニュアル
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【2006年8月5日号】