大平純子氏
国をあげて子どもの「安全」確保と「危機管理」が注目、各方面での取り組みがなされている。第一法規では、昨年9月に「子どもの安全」にスポットを当てた『子どもの安全と危機管理』を発行した。災害や事件が起こった際にすぐに役立つチェックリストや安全管理に関する解説を収めたバインダーブック、事例集や最新情報を記載したオールカラー季刊誌『CUE(キュー)』、安全管理の手法を映像で学ぶDVD、法令や通知・様式などを収めたCD―ROMの4構成だ。同ツールの提案者である第一法規の大平純子氏に、制作のきっかけとその特長を聞いた。
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■緊急時の対応が“即”わかる
防犯訓練にも役立つ
「池田小事件始め学校内で起こった犯罪事件が多発していた時期、1人の母親として危機感を感じ、なんとか安全管理に広く役立つものを提供できないか、と思っていました。学校の先生が校務や学習指導以外に様々な安全管理や安全指導・学校対応に配慮する必要性がクローズアップされており、時間のない中でもより効率的に的確な安全指導と危機対応のために必要な情報をまとまった形で提供したい、というのが制作のきっかけです」。
「子どもの安全」は、「交通安全」「生活安全」「災害安全」3領域に分けられる。その全てを網羅した分かりやすい解説書は、これまでなかったという。
「現場の先生や専門家の方々の意見を聞きながら、『有事』の際、これ一冊あれば『対応方法が分かる』ものを目指しました。一番の特長は、バインダーブック第2編の『チェックリスト』です。自然災害から校外・校内学習中の事故、不審者遭遇や連れ去り事件など、今現実に起こっている様々な事件や事故をケース事例として想定し、『誰が何をしなければならないのか』がすぐに分かるよう配慮しました。既存のマニュアルに比較して、実践的かつ具体的なものになったと現場の方や専門家の方からご評価頂いています」。
また、解説の中に事例ファイルやコラムとして各校の安全対策事例や用語解説、類似ケースの紹介、配慮すべき事項を盛り込んだ。「『有事の際にすぐに使える』ものではありますが、ぜひ事前の訓練などでも使っていただきたいですね」。
年一回の更新で最新情報を網羅
■「地域安全マップ」作成で
“危機回避能力”身につける
「地域安全マップ」を児童らが作成
バインダーブック「子どもの安全と危機管理」は毎年1回更新。季刊誌「CUE」は年4回出され、子どもを取り巻く安全環境管理に関する最新情報や新しい資料を添付、チェックリストも社会状況にあわせ、更新していく。
この4月の更新では、立正大学の小宮信夫教授監修による「地域安全マップ完全ガイド」を追加。小宮教授による解説と、東京都目黒区立五本木小の児童によるマップ作り活動2本がDVDに収録されている。DVDの中で小宮教授は「危険箇所を記した地図を子どもに渡すだけでは、効果は薄い。地域安全マップの作成を子どもたち自身が行うことにより、どのような場所が危険でどのように気をつけなければならないのか、といった危険回避能力を身につけることができる」と述べる。また、発行以来幼稚園や保育園からの問合せも多く、その年代に向けた事例やデータも新たに追加収録した。
「幼稚園や保育園では安全管理に対する危機意識も高いのですが、それに向いたマニュアルがなくて困っている、という声を反映させました。季刊誌『CUE』では、幼稚園や保育園の事例も盛り込むよう配慮しています。学校だけではなく、地域活動や保育園、幼稚園など幅広い方に役立つ危機管理ツールとして、専門家や現場の方からのヒアリングをしつつ、『今役立つもの』として提供していきたいですね」。
▼問合わせ先
第一法規 TEL:0120-203-696 FAX:0120-202-974
「子どもの安全と危機管理」 http://www.kodomo-anzen.com/
【2006年5月6日号】