各省の担当課長が施策を提示 |
2005年以降もコンピュータの整備は交付税措置されるのか?情報技術教育が貧困すぎる。どう対応するのか?−日本教育工学振興会主催の第21回教育情報化政策セミナーが「教育情報化ポスト2005に向けて」をテーマに3月15日に開かれ、文部科学省大臣官房審議官・樋口修資氏の教育改革についての基調スピーチをはじめ、各省の担当者が情報化政策や基本的考え方を提示。参加者からも活発な質問が出て、意見交換が行われた。
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■情報化促進に
国民的関心を
中教審で議論されている「新しい時代の義務教育改革」について樋口審議官は、これまでの教育改革を第1期明治、第2期戦後、第3期1980年代以降と振り返りながら、「21世紀の知識基盤型社会では、生きて働く学力、創造知を身につけること、過去知から創造知を作っていく人材が求められている」と言及。
ナショナルミニマムは国の責任で行い、必要な財源は国が保障するが、地方も教育の推進に責任を持つ。
また、義務教育改革は、21世紀型学力の育成を目指し、教育内容、教員のあり方、学校長のリーダーシップ、権限拡大などを審議している。総合的な学習の時間数、週5日制についても聖域を作ることなく再検討する、とした。
以下、各氏の発言概要を記す。
●坂元昂・日本教育工学振興会会長
IT政策パッケージ2005が発表され、重点的取り組み課題として、電子政府・電子自治体、医療の情報化、教育の情報化、情報セキュリティ、の4点が示された。
英国では、教育技能大臣が1時間もICT活用の重要性について話すほど国として力を入れている。e−skills UK、eスキルパスポートといったコンピュータ・インターネットリテラシーの標準技能も定めている。世界各国がICT、eラーニングを推進している。
●堀井巌・総務省財政課財政課企画官
地方交付税の仕組み、また地方の自主財源である地方税が一人あたり税額が東京都の18・2万円に対し、沖縄県の6・8万円と都道府県格差が大きいことを説明した。
県に出向していた時に情報担当課長、財政課長もしていた。その経験から、予算を獲得する方法について次の点を示唆した。
・情報化予算、重要性についてきちんと理論武装しておく
・教育だけで語るのではなく、知事部局と一緒にやる。防災と合わせて整備を進める
・高価なコンピュータより、安価なものをいっきに入れた方が効果が高い
●中川健朗・文部科学省初等中等教育局参事官
校内LAN整備の遅れ、地域間格差の拡大の中、文部科学省、総務省、経済産業省などが協力している「教育情報化推進協議会」で整備の目標達成に向けて、最後の追い込みとしてできる限りの活動を展開していることなどを説明。
現在論議されている義務教育改革の中で、ICTの利用が俎上に上らない。好評なITスクールなど、「IT人材育成プロジェクト」事業も予算を増額するのに非常に苦労する。情報化促進の必要性の訴え、国民全体の関心の高まりの必要性を挙げた。
●小林利典・経済産業省情報処理振興課課長
「やってみる」「とんがった所をする」のが経済産業省のスタンス
100校プロジェクトが開始された94年からの10年間で、整備が計画的に進められ、レベルの高い利活用もかなり普及してきたと考える。発展的な施策に転換すべき時期。
1つは、「コンピュータとネットワークを使う学習の支援」から、「コンピュータとネットワークの学習の支援」へ。
2つは、学校が社会とつながり、教室の壁は崩れたが、ソフトウェアの壁に囲まれている。仕様や機能に縛られている。
「open school platform」として、オープン ソース ソフトウェアを使ったソフト環境の実現。現在、つくば市内4小1中学校、岐阜県内2小1中学校で、1000名以上の児童・生徒が参加、デスクトップLUNUXコンピュータを利用して実証実験を行っている。