文部科学省科学技術政策研究所は科学技術創造立国実現に向けて、学校と科学館等との連携の重要性について、調査を実施した。科学館学習を受けた児童生徒の理科への肯定的な意識は、全国平均より高く、「理科の授業が分かる」「実験や観察が好き」「科学は国の発展に重要だ」などでも有為な差を示し、科学館学習の有効性を明確にした。
調査対象は、地域に科学体験センターなどがある福島県須賀川市、栃木県真岡市、京都市、島根県出雲市の4市の児童生徒約1万6000人を対象に実施。平成13年度に実施された小中学校教育課程実施状況調査(以下「全国平均」と略)から11問を選び同じ質問をし、全国平均と比較した。
「理科は好きですか」、「理科の勉強は大切だと思いますか」といった11の設問について、4市のアンケート結果と全国平均を比較すると、全209学年のうち171学年(81・8%)で全国平均を上回り科学館学習の効果を示した。
また、「理科の授業が分かる」「分からない」に関係なく、「科学館学習はおもしろかった」「同学習がわかった」と回答した児童生徒が多かった。上のグラフは京都市の児童生徒を「理科の授業が分かると回答した群、分からないと回答した群」に分け、「科学館学習がおもしろかったか否か」別に「実験や観察が好き」な児童を生徒の割合を示したもの。
グラフで、いずれの群でも「科学館学習はおもしろかった」と回答したグループの方が、「実験や観察が好き」な児童生徒の割合が高く、科学館学習と「実験や観察が好き」との間には相関関係がある、と推察できる。
また、出雲市では、今回の調査を実施した時点で科学館学習(出雲科学館・平成14年7月に開館)を受けていない児童が多数いた。そこで、科学館学習を受ける前と学習後の理科に関する意識を比較した。その結果、「理科が好き」「理科の授業が分かる」「実験や観察が好き」「科学は国の発展に重要だ」などの項目で、学習後の理科に関する肯定的な割合が3〜9ポイント高まった。
男女別では、女子の方に肯定的な意識変化が強く見られた。
【2004年12月4日号】