入社時に企業が求めるスキルや技能を学生は身に付けているのか−−社会が求める人材を育成しようと、NPO法人「実務能力認定機構(ACPA)」(理事長=坂元昂・社団法人日本教育工学振興会会長)は、大学と企業のコラボレーションにより、職種ごとに求められる技能要件とその技能が得られる認定講座一覧表を12月に作成する。
従来、企業の採用時に応用力や経験・学歴が重視されてきたが、知識・技能を認定することで、土台となる基礎的知識・技能の確実な習得、レベルアップを目指す。
具体的には、企業の人材ニーズを把握することにより、「実務能力基準表」(スキルと職種の相関表)を作成。その要件に合う民間講座を実務教育講座として認証、大学の単位互換にもつなげていく。
10月27日に開催された第2回事業説明会には、文部科学省、総務省、内閣府ら5省庁の関係者をはじめ、大学関係者、大手企業などの担当者約120名が参加。同機構の説明を聞いた。
式典で、経済産業省情報処理振興課の小林利典課長が講演「IT人材育成の展望」の中で、「産業界として大学が変わっていくことを座して待つ余裕があるのか」と警鐘を鳴らしながら、「産業界から見て大学の新卒者はそのままでは使えないとの声がある。大学では実践的教育カリキュラムが非常に少なく、教えられる教員も少ない。産学共同研究もソフトウェア製作では行われている例は少ない」と大学教育の閉じた現状を指摘。「教育評価の軸を入れることにより、実践的教育がレベルアップしていく。実務能力認定機構の活動は、これに合致している。レベルの高いソフトウェア技術者、IT人材が育成されることを期待している」と語った。
【2004年11月6日号】