■生徒の積極性増す 生徒会選挙に2倍の立候補
「生徒の意気込み、熱意が違います。いろいろなことに対し積極的な生徒が多い。生徒会選挙にも定員の2倍もの立候補者が出ています」と神奈川県立横浜清陵総合高校の小島淳子先生。同校は今年度、清水ケ丘高校と大岡高校が再編され、単位制による全日制総合学科(2学期制)として開校した。コンピュータ教室は、CALL教室を含め5室。各教室にも情報コンセントが設けられ、ラウンジには情報掲示用のプラズマディスプレイも置かれている。図書室、自習室にもコンピュータを置く計画がある。
生徒は、自分の興味、進路に合わせ、必履修科目以外に、6系列の中から自由に科目を選び履修する。人気のある科目は、映像メディア表現、金管アンサンブル、文書デザイン、ボウリング、社会福祉基礎、など。情報は、1年次に必履修科目として、情報Aと情報Bを開設しているが、生徒の履修状況は、情報Aが約200人、情報Bが約40人と情報Aを選択する生徒が圧倒的だ。情報Aでは前期、調べ学習をかねて、海外旅行の企画書作りやメールの送受信、情報モラル、後期にプレゼンテーション、Webページ作成などを学んでいる。
■恵まれた「情報」の設備
期待に応えるように科目開発 横浜清陵総合高校は、実社会で求められるプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を学ぶ科目が多い。1年次に必修で学ぶ「産業社会と人間」は将来の職業について体験的に学ぶ授業。5月に様々な職業についている人の話を聞き(社会人講話)、学んだことについて発表し、9月にも事業所を見学・体験しプレゼンテーションする。また、2年次の総合学習「視点」は、環境を軸に、いろんな視点から物事を見る能力を育て、同じく必修科目の「コミュニケーション」で社会生活の基礎となるコミュニケーション能力を養う。そして、3年次の課題研究につなげていく。
さて、総合学科では「情報A、情報Bはガイダンス科目で、情報科学系列に開設されている科目により上の内容を積み上げていく。また、マルチメディア表現などは来年以降の開設科目で、これから1年間のカリキュラムを作っていかないとならない。生徒の期待を裏切らないように、科目開発していきたい」と小島先生。
開設科目は他に、文書デザイン、マルチメディア表現、ネットワークシステム、アルゴリズム、Webプログラミング、データベース、ロボット入門、コンピュータ技術など。情報科学系列の教員は10人。教科書のない科目もあり大変だが、生徒の期待に応えようと意欲的だ。
ワープロ検定など技能審査の成果も単位認定。さらに、コンピュータ教室だけでなく、先ごろ県立学校全校に配備されたノートパソコン8台とワゴン1台も活用されつつある。
■総合学科の基盤として 情報を基礎から丁寧に指導
柿生高校、柿生西高校が再編され、今春開校した神奈川県立麻生総合高校は、川崎市の北部に位置。「幅広い『学力』の生徒が入学してくるので、柔軟なカリキュラムを準備。多様な選択科目も入門的な内容のものを設置し、生徒の興味関心を育てていきたいと考えています」「情報(教科「情報」と情報・ビジネス系列を組み合わせ)の内容を発展的な学習に向けどう構築していくかは、先生方の力の発揮どころです」と鈴木市朗教頭。
クラス内でも、学力幅が非常に広いのが特徴。そうした中、3年間で自分探しをし、目標を持ってもらい、自分の進路、生きる力を育てていきたいという。
情報は、1年次に「情報A」を開設。生徒の状況は、「ワープロ、表計算の操作にしても、道具として使える段階になっていない生徒が多いんですね。従って、前期はアプリケーションの使い方を重点的に指導しました」(若園久志先生)
中学校技術・家庭科の「情報とコンピュータ」である程度は習っているはず、とはいってもキーボードの入力が覚束ない生徒が多いので、前期は毎時間、授業のはじめに5分程度、タイプ練習ソフトでタイピングの練習をさせた。
他にプレゼンテーションの方法、デザイン的なチラシ、ポスターの作成、旅行計画の作成などもさせている。
また、職業について体験的に学ぶ科目「産業社会と人間」では、1年生242人が56か所の事業所で体験実習し、昨年度はその成果をプレゼンテーションさせた。
「情報は、最終的に人に何かを伝える基礎となるツール。総合学科の基盤の一つとして、捉えています」(上松明先生)
多摩地区という土地柄、周辺には大学、短大が多い。その環境を生かし、大学、短大など計12校に及ぶ学修が単位認定されている。また、英語検定やワープロ検定も合格すると単位に認定される。
【2004年10月9日号】