文部科学省の情報教育の実態調査が昨年より約1か月遅れて公表された。当初から、整備の遅れが懸念されていたが、予想以上の遅れを示す結果となった。また、何よりも問題なのは、校内LANの整備率、コンピュータで指導できる教員数などにおける大きな自治体間格差である(
平成16年3月末現在の教育用コンピュータの平均設置台数は前年度より全体で平均3.5台増え、小学校で27.7台、中学校で44.1台、高校で101.4台、盲.ろう.養護学校で26.2台となった。コンピュータ1台あたりの児童生徒数は、全体で8.8人/台となり(前年度は9.7人/台)、2005年度末の目標である5.5人/台に一歩近づいた。
一方、2005年度末に100%を目標とする整備計画と大きく乖離しているのが、校内LANの整備率37.2%(前年度29.2%)で、計画の達成は絶望的である。普通教室へのコンピュータの整備率も20.2%と低く、すべての教室でインターネットに接続されたコンピュータを使って授業ができる環境.とはほど遠い。また、コンピュータで指導できる教員数も60.3%(前年度52.8%)と、ほぼすべての教員が指導できるようにするには困難な状況になった。
問題は、前述した自治体間格差である。既に100%校内LANを整備している自治体(郡山市、鹿児島市)もあれば、0.1%の自治体もある。県全体でも84.7%に達している県(岐阜県)がある一方、8.9%と一割に達しない県(東京都)もある。指導できる教員数も、最上位の92.4%の沖縄県と最低の高知県(47.5%)と開きが非常に大きい。憲法で保障されている「教育の機会均等」が崩れている。
文部科学省はこれまで地方交付税により単年度約2000億円を措置し、「現場の先生による地方財政部局への要望の高まりによる整備の進捗」を求めてきた。しかし、地方財政難の中、その図式を再考すべき時期に来ているようだ。
【2004年8月7日号】