情報A、情報B、情報Cの3科目で構成され、このうち1科目を選択履修する普通教科「情報」。普通科高校でも、今年度からコンピュータの基礎的スキルと知識、情報活用能力を学ぶ科目が必修で2単位設置された。高校における情報活用をいかに育て発展させるか。スタート1学期を終えて、要望や課題を追った。
埼玉県立所沢高校は、1年次に「情報A」を開設。「最も足りないのは人です。メンテナンスをしてくれる人、情報助手が欲しい」と松下先生。同校は1昨年コンピュータが更新され、Windows2000のコンピュータが41台と環境は比較的新しいが、古いところは大変だという。「不具合が起きたときに、それに対処するのが1人では大変で、授業中コンピュータがハングアップしたらそれで授業が止まってしまいます」。
2学期はグラフィックデザインを中心に、アイコンの制作やデジタル変換、色づけなど。3学期はホームページを制作させる予定。
「主に発想力を評価しています。与えたテーマをどう捉えいかに対応するか。発想であれば、家にPCがあってもなくても評価できます。思考錯誤ですが、デジカメで撮った画像を組み合わせて発表させ、評価の観点を示して生徒同士でも評価させる。それと私の評価を組み合わせています」
なお、1年生は中学校で慣れているものが多く、それほどスキル差はないと言う。
茨城県立古河第一高校も、1年次に情報Aを設置。同校は県内でも珍しく、免許を取得した情報担当教員が2名いる。その利点を生かし、「1学期は実習中心に、個々の生徒の能力差に合わせた時間も設定しました」と中野先生。エクセル、パワーポイント、メールの送受信などソフトの操作方法を学習。2学期は著作権、情報モラルにも取り組む予定だ。
普通教科「情報」の今年度の実施状況については、文部科学省もまだ統計を取っていない。本紙が電話でいくつかの都道府県にヒアリングした結果によると、1年生で普通教科「情報」を開設している学校は、4割〜6割といった状況だ。例えば、茨城県は111校中69校で開設(内訳は情報Aが61校、同Bが1校、同Cが7校)。栃木県は68校中、33校で開設(情報A26校、B2校、C5校)。富山県は48校中、30校で開設(情報A24校、B4校、C2校)。長崎県は76校中42校で開設(情報A39校、C3校)。内訳は、「情報活用の実践力」を中心とする情報Aが圧倒的に多く、次いで「情報社会に参画する態度」が中心となる情報C、「情報の科学的理解」が中心となる情報Bといった具合だ。
「4観点についてどう評価するかが大きな課題」と語るのは岐阜県教育委員会の担当者。現場の要望は、教育課程集会で取ったアンケートでも、実習助手の配置が最も多いという。
一方、富山県教育委員会の担当者は、「今年の1年生はLANの経験に格差があり、学校に戸惑いがある。来年は、中学校の整備が進んだことで一気にレベルが上がる。科目の内容をいかに深め、変化させていくかが課題となる」と今後のあり方を指摘する。
スタートした普通教科「情報」。小中学校と学んできた情報スキル、情報活用能力を眠らせず発展させるために、今後も模索が続く。
【2003年9月6日号】