「インターネット依存」をテーマの中心に、「情報化が子どもに与える影響」調査報告書をコンピュータ教育開発センターが文部科学省の委託を受けまとめた。日本では、インターネット依存の症例報告はまだ少ないが、米国、韓国では深刻な状況が報告されている。報告書はインターネット依存の定義、学校種段階におけるケーススタディ、依存からの脱出・予防、昨年度のアンケート調査からの詳細な分析などを試みている。
インターネット依存の明確な定義はまだないが、カウンセラーや医師など同症の症例に接した専門家の意見をまとめ、暫定的な定義を得ようと試みている。行為としてはメールやチャットに依存していることが多い。加えて、アルコールや薬物のような身体的な依存とは異なり、ギャンブルや買い物と同様、行為の過程への依存である。依存症になりやすい子どもは、1コンピュータの好きな子2論理的に物事を考える子3几帳面な子4社交的でない子。依存の問題点は、1他人の人格になることがある2架空のことをやってしまう3コンピュータに向かっている自閉的な時間が長い4ゲームに依存してやめられなくなる、といった点を指摘。依存の指標は、1インターネットの接続時間2依存状態の持続時間3離脱症状の存在、などが上げられる。また、インターネット依存と不登校とは明確な関係は認められない、としている。
ケーススタディで取り上げているのは、小学生、中学生、高校生、大学生の13事例。長時間のインターネット使用、なりすましによる友達への迷惑メール、掲示板荒らし、引きこもりといった学校で起こっている問題事例とインターネット依存との関連を考察。
脱出・予防法は標準化できないが、1日2時間程度の使用を目標にコンピュータに向かう時間を減らすようにカウンセリングをしていくと、3か月くらいで改善されることが多いなどと、研究の一端を。
また、小学生、中学生、高校生約3000人及び保護者を対象にした昨年度の調査から、インターネット依存との関連を分析しまとめている。
以下、分析結果の要点を拾い上げると−。
▽小中学生では、家族との会話の満足度が低いほど、また小中高校生では家庭でほっとできないと感じている子ほど「インターネット依存」傾向が高くなることが明らかになった
▽学校に行きたくないと思うことがある子どもほど、「インターネット依存」傾向が高くなる傾向がある
▽親密な友人が存在していることは「インターネット依存」傾向を低くする傾向がある
▽小学生は、携帯電話を所有している子ほど、依存傾向が高くなる
▽情報モラル教育を学校の先生から受けた経験を持つ子は依存傾向が低い傾向にある、
などといった点を指摘。
巻末で、海外のインターネット依存研究の文献も紹介している。
【2003年7月5日号】