教育家庭新聞・教育マルチメディア新聞
文部科学省
校内LAN活用ガイドブックを発行
活用のメリットや構築方法など総合的に解説


 文部科学省の「校内ネットワークのあり方に関する調査研究委員会」(主査=赤堀侃司・東京工業大学教授)は、校内LANのメリットや整備の方法、管理・運用の方法、導入事例などをまとめた「校内ネットワーク活用ガイドブック」を文教施設協会から発行した。文科省のホームページにも掲載される。

 「校内LANのメリット、活用方法、敷設する際の注意点といったことに1つの指針を出す必要があったのです」と文部科学省初等中等教育局参事官付中井淳一情報教育調査官。このガイドブックを「校内LANを構築する際、利用目的に見合ったネットワークを敷設する際の参考にしてもらいたい」と力を込める。

 ガイドブックは、校内ネットワークの必要性などを説いた「1総論」、「2校内ネットワークの仕様」、「3校内ネットワークの管理・運用」、「4おわりに」と、7校及び2自治体の9つの導入事例からなる5章構成。
 「1総論」で校内LANのメリットについて、1いつでもどこでもインターネットが使える、2情報の共有ができる、3校務の情報化が進む、といった点を指摘。また、校内LANの概要について、接続するすべてのコンピュータが異なるIPアドレスを持つこと、サーバの役割と留意点、有線と無線のLANの違い、生徒用と教員用は別系統であることが必要、などと解説。さらに活用上の留意点について、運用ルールを決める、運用が可能になるような教員研修を行う、校内ネットワークを活用できる総合的な工事を行う、全体を見通した導入計画といった必要性やセキュリティ確保の方法を述べている。

 「2校内ネットワークの仕様」では、まず設計にあたっては「教育委員会、学校、業者が協力して設計を行うことが重要である」と指摘。設計上の留意点や手順、ネットワーク機器の構成例、ネットワークの種類なども解説。また、生徒用と教員用LANの切り分け方、ネットワークアプリケーションの設計例、さらに施工方法や教室などの端末設備にも言及。

 「3校内ネットワークの管理・運用」では、システム運用管理、日常的運用、保守・障害対策、の大きく3つに分けて解説。管理の主な内容や個人情報の保護の仕方、校内分掌への情報部といった組織の位置付け、ネットワーク障害時の対策などについて記述している。

 事例は、地域ネットワークと連携した小・中学校、携帯情報端末と校内LANを連携させた小学校、校務支援グループウェアで生徒の多面的評価や教員間の情報共有を進めている中学校、シン・クライアントを導入した県立学校ネットワーク、など異なる特色を持つ事例を掲載している。



【2003年6月7日号】