教育家庭新聞・教育マルチメディア新聞
文部科学省
「“IT授業”実践ナビ」を公開
活用の要点を提示

 各教科におけるITを活用した効果的な学習法について研究してきた文部科学省の専門家会議は、小・中・高校、特別支援教育の42事例と各授業事例の動画クリップ、及び教科ごとの効果的なIT活用法で構成される「・IT授業・実践ナビ」を教育情報ナショナルセンターホームページに公開した。効果的なIT活用法では、教科でのIT活用の具体的な場面や流れを分かりやすく解説。成果を上げた実践事例は、単元名、指導目標、指導計画、指導上の留意点、参考資料がそれぞれ簡潔にまとめている。 http://www.nicer.go.jp/itnavi/



 2005年までにすべての学校の普通教室にコンピュータが設置され、コンピュータやプロジェクタを活用した授業が通常の教室で行われるべく、整備が進められているが、「“IT授業”実践ナビ」はそうした環境での授業のイメージを提示したものともいえる。
 例えば効果的なIT活用方法のページで、小学校国語では、調べたことの発表を分かりやすくするためにプロジェクタを活用。ドリル型ソフトで漢字や言葉の使い方を繰り返し練習、生活作文などを書かせたあとワープロソフトで清書。テレビ会議システムで各地の方言を比べ合う、といった方法が効果的であると提示。

 社会科では、図書資料などの参考写真を教材提示装置で大きく提示。CD−ROM百科事典やWebページから情報を収集、テレビ会議や電子メールで地域の人や専門家に質問するといった方法を。
 中学・高校の外国語(英語)は、コンピュータとプロジェクタなどを使って、教科書の本文を解説するのに黒板を使わず、直接大画面に書き込んで説明。またCD−ROMを使って画面上のボタンをクリックし音声を聞く。Webページ上で発表し世界の人と生きたコミュニケーションをするといった方法を紹介している。

 各教科の授業の組み立て方の参考になるものである。
 一方、掲載されている実践事例は小学校13、中学校19、高校9、特別支援教育1事例。
 小学校国語3年「“読書おすすめカード”を活用しよう」は、1友だちに本を紹介するために、どんな内容のカードを作るといいか話し合う。2紹介したい本を選び、その本と紹介する人をデジタルカメラで撮影する。3本の紹介文を書く。4ワープロソフトで紹介文を清書し、デジタルカメラで撮影した画像を貼り付けて、「読書おすすめカード」を作る。5発表会で、みんなに本の紹介をする、といった指導の展開の中に、楽しい授業の動画クリップが収められている。

 中学校地理1年「身近な地域」では、1前時に行った屋上からの観察をもとに、学校周辺の地域的特色について気付いたことを発表する。その際、観察した風景をデジタルカメラで確認する。2屋上からの観察で見つけたことについて、その位置や学校からの方位、距離を地図で調べる。3地域の様子を調べるときに、観察と比べて、地図を見た方がよい点を考える指導。授業展開の要点に加え、動画クリップで授業の展開をイメージできる。

各学校種の実践事例
――小学校――
教科
学年 単元・題材名
国語
2年 かさこじぞう
3年 「読書おすすめカード」を活用しよう
社会
6年 日本と関係の深い国々
算数
1年 かずのなまえ
5年 三角形・四角形の面積
理科
5年 台風の動きと天気の変化
生活
2年 ぼくたちの町たんけん
音楽
4年 ふるさとの音楽をつくろう
5年 ぼくもわたしも作曲家
図画工作
4年 いっしょに
4年 主人公になって
家庭
6年 まかせてね きょうの食事
体育
6年 跳び箱
――中学校――
国語
2年 パネル・ディスカッションを開く
3年 故郷
地理
1年 身近な地域
公民
3年 地球とわたしたち
3年 新しい商品を開発しよう
数学
2年 三角形と円(円周角の定理)
2年 平行と合同 多角形の内角と外角
理科
1年 植物の生活と種類
1年 大地の変化
2年 天気とその変化
音楽
2年 映像のイメージをコンピュータで表現しよう
2年 中世の調べを表現しよう
美術
1年 色や形の学習「色の感じ」
1年 楽しい不思議なアニメーション
3年 写真画像を使った空想的な構成表現「デジタルコラージュ」
保健体育
3年 器械運動
3年 喫煙飲酒、薬物乱用と健康
技術・家庭
1年 心と体においしい食生活をしよう
外国語
1年 時刻・天気
――高等学校――
国語総合
2年 小説を読む―インターネットを活用した「山月記」の調べ学習と意見交流
日本史B
1〜3年 満州事変と政党政治の終末、国家主義思想の高まり
数学T
1年 二次関数―二次関数とそのグラフ
物理T
2年 運動の法則
2年 運動の表し方
2年 運動に関する探究活動
生物T
1年 細胞
1年 遺伝
英語T
1年 異文化・現在完了・分詞
――特別支援教育――
肢体不自由がある生徒のパソコンを活用したコミュニケーション


【2003年6月7日号】