不登校児にIT学習も
構造改革特区で教育の多様化促進
教育の構造改革へ−政府の進める構造改革特区に地方公共団体などから約430件の提案が寄せられた。これを受け政府は10月11日「構造改革特区推進のためのプログラム」を決定し、特区内において実施できる特例措置をまとめた。その中には教育関連の事項も多く、教科の自由な設定など構造改革特区研究開発学校制度、不登校児童生徒を対象とした新タイプの学校の設置、他の学校で修得した単位を高校の単位数と互換できる単位数の上限の緩和、不登校児童生徒を対象に自宅でのIT学習活動の認定、などが盛り込まれた。
「構造改革特区推進のためのプログラム」は、構造改革特区を早急に実現するためのもので、政府は構造改革全般の歩みを加速させるための突破口として位置づけている。今後、政府は今臨時国会に「特区法案」を提出。可決後、来年4月の法施行後、地方公共団体は構造改革特区とする区域やその区域において講ずべき規制の特例措置を、同プログラムの別表1に記載されている事項の中から選択して計画書を作成し所管省庁に提出することになる。
別表1に「構造改革特区において実施できることができる特例措置」として示された文部科学省所管の事項は、以下を含め15事項に及ぶ。
〇研究開発学校制度の下に新設する「構造改革特区研究開発学校制度(仮称)」による、小中高一貫教育等、学校種間のカリキュラムの円滑な連携、教育課程の弾力化、教科の自由な設定、学習指導要領の弾力化(学校教育法施行規則第26条の2)
〇不登校児童生徒を対象とした新しいタイプの学校の設置による教育課程の弾力化(学校教育法施行規則第24条、24条の2、25条)
〇他の高等学校や中等教育学校の後期課程に修得した単位を高等学校の単位数に互換できる単位数の上限の緩和(学校教育法施行規則第63の5)
〇引きこもり状態にある不登校児童生徒を対象として、IT等を活用した学習活動の可能化(運用)
〇幼稚園入園年齢制限の「満3歳に達する年度」への緩和(学校教育法第80条)
〇幼稚園と保育所を一体的に運用する場合において、幼稚園児と保育所児等が一緒に教育・保育活動を行う(幼稚園設置基準)
〇市町村の提案があった場合における都道府県教育委員会の教員免許状の授与手続きの運用による簡素化(運用)
〇特定の種類の学校を設置する学校法人を設立する際の校地校舎の自己所有要件の緩和(学校法人の寄付行為及び寄付行為の変更の認可に関する審査基準)
〇国立大学等の敷地の民間企業による廉価使用の対象範囲の拡大及び条件の緩和(研究交流促進法第11条第2項)
教育の多様化が一段と進むことになる。
(2002年11月2日号より)
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