新“情報教育の手引き”刊行
WebからPDFで提供
文部科学省は、平成2年に作成した「情報教育に関する手引き」を全面改訂し、新しい手引き「情報教育の実践と学校の情報化」を6月にまとめた。平成2年に作成された情報教育の手引きは印刷し有料で頒布されたが、今回は広く読まれることを想定し、文部科学省のホームページ上からPDFで無料提供されている。全体的に、小中高等学校各段階における情報教育の考え方・あり方や、教科のねらいと情報教育の目標を達成するための学習活動の関連を重視し、記述されている。ソフトウェアの分類は新たな分類はせず、前回通りとされた。新手引きは、A4版176項。http://www.mext.go.jp/
手引きは8章構成。情報教育の目標や子どもたちの学習活動の組み立て方、教員に求められる指導力と研修、ハード・ソフトの整備、情報化を推進するための校内体制作りの要点などについて記述。
第1章「情報化の進展と情報教育」で、情報化の社会的な進展とそれに対応する教育環境の整備、情報教育の充実の必要性について言及。
第2章「初等中等教育における情報教育の考え方」は、情報教育に関わる概念を明確にした。情報教育は、「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」の三要素から構成される「情報活用能力」をバランス良く総合的に育成することを目標としている、と定義。一方、教育の情報化は、体系的な情報教育の実施に加え、ITをツールとして活用して各教科の目標を達成することを含む、と区別した。
また、各学校段階の情報教育のあり方について、小学校段階では「情報活用の実践力」の育成に力点をおき、情報手段に慣れ親しませつつ、適切な活用体験を持たせることが大切な活動。中学校、高校段階では全ての教科などで情報教育に取り組むことが大切であるとした。
一方、各教科の役割については、中学校技術・家庭科の「情報とコンピュータ」は、中学校段階における情報教育の核としての役割を担うと位置づけ。その上の高校の普通教科「情報」は、個々の情報活用の実践力を向上させ、中学校技術・家庭分野で身につけた科学的な理解や情報社会に参画する態度についてさらに深めていく。また、専門教科「情報」は、情報関連人材育成の必要性に対応する教科、と定義した。
第3章「子どもの学習活動と情報教育の実践」は、子どもたちの情報活用能力を育むための様々な学習活動の組み立て方や評価方法について説明。電子紙芝居作り、とうもろこしの料理作り、川をテーマにした交流、コンビニ探検、自動販売機の調査、などの活動事例から学習目標と情報教育の目標との関連を考察している。
第4章「情報化に対応した指導体制」は、学校の情報化に向けて教員が果たすべき役割について記述。まず、教科にITを活用することで期待される効果は、1興味・関心を高め、理解を助ける2思考力、判断力、創造力、表現力などを培う3基礎・基本と主体的な学習の方法を習得させる4交流、共同学習など創意工夫を活かし特色ある教育活動を展開する、ことと言及。
また、教員に求められる力は、1学習指導での効果的な活用2操作技能の習得・向上3情報モラルの育成、でそれらの力を養成する方策として校内外研修への参加や先進校への視察などを推奨している。
第5章「情報通信環境の整備」では、教育用コンピュータの配置方法、ソフトウェアの整備、校内LANを整備する上での留意点について。第6章「学校と情報化」は、校内体制づくりの要点について。1つは校長がリーダーシップを取ること、2つは全職員が参加する体制を作ること、3つは校内で指導的な役割を担う校内情報化推進リーダーを置くこと、また専門的知識を持つ人と連携する大切さも説く。
第7章「特別な教育的支援を必要とする子どもたちへの情報化と支援」は、特殊教育における情報教育の展開、支援方策のあり方について。障害の種別ごとの支援や実践例を掲載。
第8章「学校の情報化を支える体制と地域の情報化に向けて」は、高速回線利用の意義や支援体制について記述している。
(2002年8月3日号より)
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