第12回ICTE情報教育セミナー開催


 第12回ICTE情報教育セミナーが4月21日午後1時から、「情報教育における教師の役割」をテーマに慶應義塾大学三田キャンパスで開かれた。主催は、情報コミュニケーション教育研究会。
 はじめに、ラウンドトーク1「教科c情報dの授業デザインを考える」と題し、高校の教員らが授業観を提示した。池田明・大阪市立扇町総合高等学校教諭は、情報を入手、加工、発信するといった情報流通過程の中で、情報発信のスキルを身につけさせる洗練された授業デザインが必要になる、と述べた。江守恒明・富山県立大門高等学校教諭は、実習の授業デザインに焦点をあて、その際に必要なこととして1生徒の興味・関心などについてアンケートを取る2校内の情報環境を考慮する3キーワードやスキルを考える4情報を探し出し、判断する術(インターネットとそれ以外に方法)を身につけさせる5授業で、積極的な態度を生徒に促す、を指摘した。また、半田亨・早稲田大学本庄高等学院教諭は、同校で基本的な情報リテラシーを習得する授業として位置づけられている「数学A」(1年次、週2単位)について、4月は基本操作、5月の後半から総合実習、といったカリキュラムについて説明した。
 コメンテータとして登場した影戸誠・日本福祉大学メディア教育センター助教授は、生徒の発表したいという意欲を引き出すこと、教師はネットワーク上で連携することによりもっと勉強すべきである、などが重要と語った。
 続いて、古川亨・マイクロソフトコーポレーションバイスプレジデントの基調講演後、ランドトーク2「教師に求められる力とは、情報化教育法はどう導こうとしているのか」で、大学における情報科教員養成の課題が議論された。現在、大学で高校情報科の免許を取得できる、課程認定を受けている大学数は概算で国立60校、公立12校、私立185校である。鈴木克明・岩手県立大学ソフトウェア情報学部教授、黒上晴夫・関西大学総合情報学部教授、黒田卓・富山大学教育学部助教授が出席し、情報科教育法のシラバス、大教室における授業、高校の情報科の実習を想定した講義の難しさ、などについて意見交換が行われた。特に、平成15年度から高校で情報科がスタートする中で、教員養成課程の学生は情報科の授業を実際に見ることなしに教員になることに危惧感が表明された。



(2002年5月4日号より)