地図で過去現在の推移を
4次元GISソフトを開発



 「水田のあった場所が地下鉄に変容した」など、過去と現在の地図データを重ねあわせてみることのできる4次元GISが開発された。昨年6月から進めてきたプロジェクトには、総括を務める(財)日本地図センターを中心に、実証実験を行う8人の地理担当教員が参加。また日本IBMが開発を手がけた。
 Eスクエア・プロジェクト成果発表会でも発表される4次元GISソフト「SchoolGIS」は、国土地理院の地形図をベースに、5万分1地形図では、明治中期から100年の変化を、2万5000分1地形図では、昭和初期から75年の変化を重ねあわせ表示することで、視覚的に伝える。
 新旧地形図を重ねるためにまず、CD−ROMから数値地図を取り込み、また旧版地図をスキャナ入力。各地図の座標値を揃えることで地域変化を確認することができる。また拡大縮小率や位置を変えた場合に、画面表示している複数時点のウィンドウを、全て縮尺と位置で表示できる機能も搭載している。
 ツールバーに表示されたアイコンは、カラーのイラスト表示。クリックひとつで地図をスクロールさせたり、拡大・縮小化させることができる。
 さらに地図編集による作図や変化量の解析を行うことも可能。まずある時点の地図をベースとして、土地利用図を作成。独自に区分することもできる田んぼや住宅地などの凡例9項目に従い、クリックで範囲を囲む。さらに、異なる時点で同様に土地利用図を作成。並べて表示することで、比較範囲を画面で確認しながら面積値の集計を出すことができる。
 また等高線からメッシュデータ作成し、標高データの時系列変化を読図することもできる。50mメッシュ標高で鳥瞰図を作成。地形の様子を定量化することができる。
 実証実験を行った筑波大学附属高等学校の田代博先生は「地理に限らず、総合的な学習の時間におけるフィールドワークや、歴史、体験学習などでも活用できると思います。コンピュータ担当の先生や歴史の先生が使うと、また面白い活用例が生まれるのでは」とGISの教育利用を明るく見通す。
 デジタル地図と時系列を表現できるという利点を生かし、遠隔学習や交流学習への期待は高まる。今後、各地で研修会を実施し、普及につなげていく予定。
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(2002年3月2日号より)