教員免許制度を総合化・弾力化
中・高の免許で小学校の授業を



 中学校、高校の理科や外国語、情報の免許状を持つ教員が小学校の理科の担任や総合的な学習の時間の教授ができるようにする、教員資質の向上のため教員の人事管理システムを早急に構築する、教員免許状の取り上げ事由の強化を図る、などを提言した中央教育審議会の中間報告「今後の教員免許制度の在り方について」がまとめられた。
 中央教育審議会では、昨年4月に文部大臣から諮問を受けて以来、1教員免許制度の総合化・弾力化2教員免許更新制の可能性の検討3特別免許状の活用促進、の3点を中心に審議をしてきた。
 免許状の総合化・弾力化が検討された背景は、最近の社会環境の激しい変化と児童生徒の発達にズレが見られ、幼、小、中、高校に区分されている教員免許状では児童生徒の発達状況に合わない面が生じていることから。こうした中で中間報告は、小学校で各教科や総合的な学習の時間の指導充実を図るため、教科の専門性の高い教員が担当できるよう免許制度上の措置を講じる。また、現職教員が他校種の免許状を取得する際に教職経験を評価することで、その取得を促進する制度を創設すべきである、と指摘。
 具体的には、現在中学校の音楽、美術などの免許状に限られている他校種免許状による小学校での専科担任制の分野を撤廃し、中学校、高校の理科免許状を持つ教員が小学校の理科等を担任できる措置を講じる、中学校、高校の外国語、情報の免許状を持つ教員が小学校の総合的な学習の時間で教授できるような方策を検討する。また、複数校種の免許状を持つ教員の増加を図るため、隣接校種免許状の取得を促進する制度を創設する、などと免許状の総合化・弾力化について提言した。
 一方、教員資質については、一部の問題教員、指導力不足や自己研鑚に不熱心な教員、保護者などとコミュニケーションが成り立たない教員がいて、不信感を生んでいる。そこで、教員免許更新制の導入が、1教員の適格性確保2専門性の向上、の2点を中心に審議会で検討された。しかし、適格性の判断の尺度そのものが難しいのに、教員のみ更新時に適格性を判断したり、免許状取得後に新たな知識技能を習得させるための研修を要件として課すという更新制を導入することは、慎重にならざるを得ないと判断。
 更新制度ではなく現行の分限制度などの的確な運用により対応することが適切であり、全ての都道府県・政令市で指導力が不足する教員などに対する人事管理システムを早急に構築すべき、と言及。
 また、免許状の取り上げ事由を強化するため、現行の免許法で1現職教員について「懲戒免職処分を受け、その情状が重いと認められるときに限る」とされているのを、「その情状が思いと認められるとき」を要件からはずすこと、2現職教員が国家公務員法または地方公務員法の規定に基づき、分限免職の処分を受けた場合には免許状を取り上げることができるものとする、などを提言した。



(2002年2月2日号より)