高速ネット環境を整備
  
文部科学省 平成14年度予算の概算要求



文部科学省の平成14年度予算の概算要求がまとめられた。一般会計は、6兆8772億5900万円で、対前年比4・5%増。これには、構造改革特別要求額3768億3200万円が含まれている。高度教育用ネットワーク利用環境整備事業、IT活用指導力向上プラン、図書館の地域IT学習情報拠点化整備事業などを新規に実施する。概算要求全体として、心の教育・生活指導の充実、学力向上、情報化の推進、科学技術の振興、英語教育の推進などに重点がおかれている。

 児童・生徒1人ひとりの習熟の程度等に応じたきめ細かな指導を一層充実するために「学力向上フロンティア事業」(11億円、構造改革特別要求)を新規に実施する。1000校程度の小・中学校を「学力向上フロンティアスクール」に指定し、1発展的な指導、補充的な指導など個に応じた指導2小学校における教科担任制の実践的な研究3教師用指導資料の作成、などを行う。
 「学校いきいきプラン」(4億9996万円、構造改革特別要求)の中で、特別非常勤講師などとして情報教育や教科指導について担任等を支援する社会人の導入を促進する。
 「e−Japan2002プログラム」で「平成17年度までに全ての公立学校が高速インターネットに常時接続可能な環境」の整備を目指しているのを受け、「高度教育用ネットワーク利用環境整備事業」(17億4196万円、構造改革特別要求)を新規に実施する。高速化・常時接続化に対応した高度な教育用ネットワーク整備を図るのがねらい。地方公共団体を対象に、地域ネットワークセンターに必要なネットワークサーバ・ルータ等の情報通信設備、有害情報のフィルタリング用ソフト、ネットワーク管理などにかかる経費の一部を補助する。68地域。17年度までの年次計画で計270地域を整備。高速回線等の通信インフラは、地域イントラネット基盤整備事業など総務省の補助事業等により整備する。
 17年度を目標に、全ての公立学校教員がコンピュータを活用して指導できるように、研修内容を「操作技能の習得」から「各教科でのコンピュータやインターネットを活用した授業実践」に重点化する。このため、「IT活用指導力向上プラン」を実施(24億7720万円)。独立行政法人教員研修センターが実施する「教育情報化推進指導者養成研修」でカリキュラムの改善を図る。受講者数は年間1300人。
 「環境教育に関する総合的な情報提供体制の整備」(2000万円)として新規に、インターネット環境が整備される平成17年度に向けて、教育情報ナショナルセンターと連動し環境教育に関する総合的な情報提供体制の整備を推進する。また、「環境のための地球規模の学習及び観測(GLOBE)計画」に参加するモデル校20校を指定する(1357万円)。
 17年度の本格運用に向けて、「教育情報ナショナルセンター機能」(2億400万円)を充実する。ポータルサイト機能の高度化や企業などが制作しているコンテンツの利用促進システムなどを構築する。
 一方、私立学校におけるIT教育推進のため、「施設高機能化整備費補助」(11億7700万円)として、情報教室や校内LANの整備、施設のバリアフリー化などの整備を行う私立小中高校、中等教育学校などを対象に、事業費の3分の1を補助する。事業費は上限2億円、下限1000万円。
 一方、生涯学習の情報化の促進のため、「生涯学習活動のIT化支援事業」(3億1000万円)を新規に行う。内容は、エル・ネット(教育情報衛星通信ネットワーク)による支援や生涯学習分野のITコーディネータの整備など。
 また、新規に「図書館の地域IT学習情報拠点化整備事業」(11億9600万円)を実施。公共図書館を地域における「IT学習プラザ」として位置づけ、地域住民のスキルアップやITを通じた情報入手の拠点としての機能を担うため、IT講習会の際に未整備だった図書館(2210館)を対象にパソコンを3台ずつ整備する。
 「デジタルコンテンツの活用高度化事業」(1億2800万円)も新規に。教員を中心に学識経験者、企業などで組織する9コンソーシアム(協議会)を設立。分かる授業実現のための実践研究を行う。
 さらに、教育の情報化の成果を広く一般に紹介するため、e−スクール(インターネットフェスティバル)を実施する。生涯学習フェスティバルとのタイアップ等によるイベントを開催。モデル授業のライブ中継などを行う。
 この他、科学技術、理科・数学教育を重点的に行う高校など20校を研究開発学校に指定する「スーパーサイエンスハイスクール」(7億1912万円、構造改革特別要求)や公私立の小中高校などの設置者に対して理科教育など設備の整備費の一部を補助する「理科教育設備の重点的整備」(20億円、構造改革特別要求)、英語教育を重点的に行う高校など20校を研究開発学校に指定する「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」(1億円)、科学系博物館を利用した学習プログラムの共同開発などを行う「科学系博物館教育機能活用プロジェクト」(1億4500万円)などの事業を新たに盛り込んでいる。



(2001年10月6日号より)