RFIDタグとはなにか?
技術的基礎とメリット・デメリット
そもそも、RFIDタグとは何なのか。ニュースでURLを掲載した、富士通のサイトから解説の記述を引用してみる。
Radio Frequency IDentification タグ。記録情報を電波を使って送受信し、物体の識別が行える小型で軽量な無線ICチップ。アクティブ型RFIDタグは、タグ自身から微弱な電波を発射し、10m程度の離れた受信機で情報を読み取ることが可能。 この解説では、データを「離れた受信機で読み取る」ことしかできないように読めるが、実際には「離れた送信機から書き込む」仕組みを作ることも可能。
もう少し詳しく知りたい人は
などを参照のこと。
■使用イメージが湧かない人のために 〜 Suica Icoca スキー場のリフト券 上の説明では、イメージが湧かない人も多いかもしれない。
「そもそもRFIDタグとは何か?」の説明を読んでも、どういうものかというイメージが湧かない場合、首都圏や京阪神圏に住んでいる人は、JR東日本やJR西日本が使っている、SuicaやIcocaを思い浮かべると分かりやすい。また、スキーやスノボをやる人なら、リフトに乗るときに、チップ状の券を接触させてゲートをくぐるタイプのリフト券を思い浮かべよう。
これらは、無線ICカードと呼ばれるもので、正確にはすこしRFIDタグと違うが、技術的にはほぼ一緒。SuicaやIcoca、スキー場のリフト券では、読み取り機にカードやチップを押し当てると、機械が認識して、ゲートを空けてくれる。読み取り機では、個々のカードやチップに収められているプリペイドデータや、チップの期限データを認識しており、ゲートを通過できるかどうか、判別しているわけだ。 ◇ 今回のニュースで取り上げた、富士通と立教小学校とが開発した仕組みで使われているRFIDタグは、どこにも押し当てる必要がない。10mくらい離れたところでも、読み取り機はタグの認識を行う。従って、この読み取り機を校門に設置しておけば、全ての児童の登下校が把握できる。児童自身は、読み取り機にカードを向けたりといった動作を行う必要は無い。これが、今回開発された仕組みの概要だ。
こう書くと、技術になじみの無い方は難しく思われるかもしれないが、実はそんなに難しくない。要は、(例として余り言いたくないが)本屋さんやCD屋さんなどで10年以上前から導入されている、万引き防止システム。これに、「個体識別」ができる仕組みが加わったものがRFIDタグだと考えれば良い。
■RFIDタグのメリットとデメリット 当然のことながら、技術にはメリットもデメリットもある(正確に言えば、技術には特質だけが有って、それをメリットと捉えるか、デメリットと捉えるかは、人間)。この新しくて、古い仕組みである、RFIDタグもそうだ。
RFIDタグの特質は、「個体識別」が「RFIDタグの存在を意識せず」「複数同時に」行うことが可能になるというもの。この特質ゆえに、メリットと考えられていること。デメリットと考えられていることがある。
一般的に
【メリット】
人間が逐一チェックしなくても、ものや人間の移動が把握できる。 【デメリット】
個体識別が可能になる可能性がある。 【メリット】面は、
・物流などの効率化や安全化
・こどもや高齢者などの位置情報把握(今回の利用法は、こちら) などを想定しているわけだ。反面、【デメリット】では、保有している「もの」のなかに、RFIDタグが埋め込まれている場合、個人が行った場所や、購入したものなどの情報が全て把握できてしまう可能性がある、ということを想定している。要するに、プライバシーの問題が発生するかもしれない、と考えるのだ。
これを分かりやすく説明してくれているのが、 ○固有IDのシンプル・シナリオ
http://www.hyuki.com/techinfo/uniqid.html 結城浩氏というテクニカルライターが執筆した、RFIDが固有IDシステムを持つことで起こりうる状況をまとめたサイト。リンク集も充実しており、読み応えがある。長くて読むのが大変かもしれないので、ご本人が記している、「何を言いたいのか?」の概要を引用する(でも、少しでも興味のある人は全体を読んでおく事をおすすめ)。
◇ ◇
「固有IDのシンプル・シナリオ」で言いたいのは、 固有IDを使うと、個人を追跡できる場合がある ということです。(中略)固有IDに個人情報が盛り込まれていなくても、固有IDが暗号化されていても、データベースがそもそも存在しなくても、固有IDを使って個人を追跡できる可能性がある、ということです。
「個人の追跡」自体は良くも悪くもありません。良く使えば便利なサービスを生み出しますが、悪く使えば危険です。
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