学校図書館・公共図書館
イントラで市内の蔵書検索
物流システムも整備
「必要な資料が増えた。学校図書館司書によるレファレンスにより、児童の調べ学習はスムーズに」
近年、図書館のネットワーク化は各地で進む。京都府亀岡市は、市役所や図書館、小中学校、行政施設など計85施設を光ファイバーケーブルで結んだ地域イントラネット「かめおか知恵の郷ネットワーク」の供用を開始した。
ネットは市役所を中央情報センターとして、ガレリアかめおか、国際センター、小中学校、自治会集会所などを毎秒最大1ギガの光ファイバー線で接続。民間敷設線を賃借することで、当初計画数の倍の施設でのネット利用が可能になった。市では教育向けの動画像などのダウンロードなどに利用されると期待している。
一方、千葉県浦安市では、第3セクターのCATV事業者(SNU)が市内全域に超高速通信のための環境を整えた。市のホームページでは既に、図書館蔵書検索などが稼動している。
さいたま市立常盤小学校では、平成10年度の年間貸出冊数が3897冊に対し、11年度には1万3293冊と大幅な増加を示している。要因は何か。
「ネットワーク便」で必要な図書到着
さいたま市立教育研究所の平田功・主任指導主事は考察を加える。「10年度に文部省による学校図書館情報化・活性化事業に参加、蔵書をデータベース化しました。11年度からコンピュータによる貸出を開始したことで、授業に必要とされる図書の把握、貸出作業がスムーズになったこと。同時に、学校図書館司書が配置され体制が整ったことが大きいと思います。」現在、市内小中学校134校のうち80校に学校図書館司書を配置、図書館用コンピュータは69校に設置している。
同市では、市立図書館と学校図書館の連携も特色の一つだ。北浦和図書館にある学校図書館支援センターから学校図書館への図書資料の団体貸出は年間3万冊に上る。また、3市が合併した13年度から、学校図書館資源共有型モデル地域事業に参加している。
「1日あたり、100冊ほど本が貸し出されます」というのは、市立大谷場東小学校の鈴木弘子司書。大谷場中学校と共同で利用している図書館は、常に大盛況だ。
小学校12学級、中学校15学級。調べ学習では、時に「助け舟」も必要となる。
「毎度、どうも」と、両手に紙袋を抱えて図書館を訪れたのは、運送会社の配達員。紙袋のなかには、近隣の小学校から借り入れたという図書が20冊ほど梱包されていた。
「公共図書館のほかに、学校間でブロックごとに団体貸出をしているんですよ。どこの学校が図書を所蔵しているかは、さいたま市立教育研究所と学校を結ぶネットワークを利用して検索できます。検索がヒットした学校に電話やFAXで貸出をお願いすると、このネットワーク便で学校に届きます」と中学校の菅原美智子司書はいう。
現在はISDNで接続されているが政令指定都市となる来年度、教育研究所を中心として、市内の小中養護学校135校が光ファイバーで結ばれる。
「公民にはcアイヌ民族dが紹介されているのに、関連の図書が少なくなっている。お持ちの方はご一報を」と、同市立大原中学校の加倉井範子司書は、司書研修会で報告した。図書情報を結ぶイントラ、司書を結ぶ人的ネットワークは、子どもの「知りたい」に対し、答えを導く。