学校栄養士が間近で見学
カルビー清原工場

 栃木県のカルビー清原工場見学&勉強会が7月25日、本紙主催で開催された。学校の最前線で子どもたちの健康と栄養を考えている、学校栄養職員(栄養士)の方々に、手軽な朝食として利用が増えているシリアルと同社のロングセラー商品でもある「かっぱえびせん」について、実際の製造現場を間近で見てもらい、新しい知識を収集する機会になればという趣旨。今回見学会に参加したのは、都内に勤める小中学校の学校栄養士ら。参加した動機は「個人で工場見学は滅多に出来ないから」、「シリアルの栄養価と材料について知りたかった」、「どのように衛生管理をしているのか知りたかった」など。中には「2学期に間食指導を予定しているので、間食としての位置づけを探りたかった」とかなり具体的な目的を持って参加された先生もいた。


 朝9時に東京都・池袋駅に集合、そこから2時間かけて「森の中の工場」と呼ばれる栃木県のカルビー清原工場へ。清原工場では、シリアル全品と「かっぱえびせん」を製造している。原材料搬入から製造過程まで、一貫して見学できる工場で、小中学生から社会人まで年間1万人もの見学者を広く受け入れている。

 工場見学に来たい、というオファーのあった学校には、カルビーの社員手作りの「招待状」が送られる(写真1)。工場のあちこちには「見学者に楽しんでもらいたい、カルビーの商品をよく知って愛してもらいたい」との思いから、かなり手の込んだ、社員手作りの製造過程のパネル(写真2)や妖精の人形、工場見学に来た子どもたちからの手紙など(写真3)が飾られており、明るく親しみやすい雰囲気だ。

 見学前には、滅菌された白衣と電石帽(でんしゃくぼう)に着替え、袖も足首もサポーター状のもので縛る。製造中の工場内に入るため、髪の毛はもちろん、体毛一本も入り込まないようにとの配慮だ。さらに手を洗浄・消毒、ほこりをクリーンローラー(写真4)で取り、滅菌ルームに入る。工場はまさに「清浄」な場所なのだ。
 見学者に大変好評だったのが、イヤホンを通じて説明を聞けること。列の最後尾でも、工場内の騒音に邪魔されずに説明を聞くことが出来る。

2時間かけてじっくり見学
「できたて」はおいしい!
  まずは普段荷物運びに使われる大容量のエレベーターで5階へ。
 コーンフレークは、コーングリッツと呼ばれる、デントコーンを挽き割りした材料から出来ている。それを蒸している機械、押しつぶしたものを熱風で焼き上げる様子、味付け、乾燥して箱詰めされる様子などを間近で見学。広いとはいえ、工場内は大人数が通ることを想定していないため、案内係からは「気を付けて下さい」「危ないですよ」と頻繁に声がかかる。
パッケージ見学中、思わずにっこり 

焼き上げ過ぎて焦げ目のあるフレークは、エアージェットでひとつひとつ打ち落とされる。味付け前のフレークの味は、香ばしい。
 一方、天然エビを丸ごと使用して作られる「かっぱえびせん」は、小麦粉とエビ、油、塩が原材料だ。製品化までに3日を要するという手の込んだ菓子でもある。

 蒸し上げた生地を薄く伸ばし、えびせんの大きさに成形、熱で煎り上げてから油と塩で味付けされる。味付け前のほんのり温かいえびせんからは、エビの匂いが漂う。出来上がったえびせんが梱包のために延々と上階に運ばれる様は、壮観だ(写真5)。
 熱気のこもった広い工場の中を2時間歩き詰めで、それぞれの工程を説明のみではなく間近で見ることが出来る、中味の濃い貴重な見学だった。

別棟で製造
人気の「フルーツグラノーラ」

 カルビーのシリアルの中でも最も注目度が高いのが「フルーツグラノーラ」だ。「フルーツグラノーラ」は新しい別棟で製造されており、旧工場からは「虹の架け橋」(写真6)と呼ばれる渡り廊下を通って入る。ここでもフルーツや麦の妖精たちがお出迎え。社員手作りのパネルは、見学にきた小学生に人気だ(写真7)。
 工場内の色彩はブルーグレーが中心で爽やか。作業工程のほとんどがオートメーション化されている。また、埃が一切たまらない造りになっているのも特徴だ。



【2003年8月9日号】