【食育実践紹介】
さあ、中学からお弁当!
卒業の前に調理実習
神戸市立 東垂水小学校
神戸市内の公立校では、中学校から昼食は基本的に家庭弁当の持参となっている。その神戸市では、中学入学を控えた6年生を対象に、弁当づくりの実習を行っている小学校も少なくない。神戸市立東垂水小学校(渡辺五朗・校長)もその一つ。同校では学校栄養職員の友藤みどり先生が1学年「食べ物の名前を知ろう」から学年ごとにテーマを変え、TT授業に入って食に関する指導をすすめている。「お弁当をつくろう」は6年生の子ども達に事前学習から買い物、調理実習まで5日間、6時間をかけて取り組んだ。
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■栄養を知る
事前学習 1月21日の6時間目は6年1組の2日目の授業、ワークシートを利用してすでに学習した栄養バランスを考えながら班単位で献立を立てさせていく。まず1普段の食事との違い2熱いものは冷ましてから盛り付ける3腐りやすいものは入れない。そして、条件として、給食のおかずを2品入れることなどを確認、「予算は1人150円以内」と聞いた時の子ども達のどよめきは、「5人の班ならいくらになる?」「大きな野菜とか数の多いものは同じ材料を使うほかの班と相談しましょう」の言葉で治まった。
クラスバイキング給食は、1他の人のことも考えて料理を取るなどの思いやり、正しいマナーの必然性などに気づかせる2家庭科で学習したことを実践し、バランスのとれた食事を選択する3バイキング給食を通して、同級生教職員との交流を図る−−をねらいに、場所は図書閲覧室を利用、テーブルバイキング方式の各テーブルに6〜8名ずつにわかれ、校長や教頭をはじめ、教職員が加わる。
各クラスは学級活動において、この給食の事前学習を行った。そこでは任意の日の給食の残食量を知らせ、苦手なおかずは食べないなどの残食内容を気づかせたり、家庭科で習った基礎食品群の復習、中学生の栄養量について学習させ、クラスバイキングではどんな食べ方をすればよいかを発表させる。クラスバイキング実施後には、バランスのよい食事の組み合わせができたかなどをワークシートを利用して評価させた。
■買い物から
いざ調理!
親の気持ちがわかるかな |
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この取り組みの実践者である学校栄養職員の飯島敬子先生は同校で2年目、昨年度に食傾向の意識調査をした上で今回の取り組みを計画した。どんなクラスでも楽しい給食時間を経験することで、今後の生活にもつなげてもらいたいという願いもあるからだ。事実、それまで気がかりだったクラスでもテーブルバイキングの席で他の人の料理を自らすすんで取り分けていたり、気難しく思えていた先生が実はとても話の面白い先生だったと児童が感想に書いていたり。また、調理師の意識向上や残食が減ったことでやる気にもつながったという。飯島先生は、「この取組みでは、班編成や座席表づくりなど衛生委員(給食と保健の兼任)が大活躍でした」と振り返る。
同校での食育の取り組みはほかにも、生徒用と保護者用に月に二度発行する「給食だより」、保護者向けに「食」について理解してもらう「学校給食試食会」なども実施している。
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お弁当の完成です! |
【2005年2月12日号】