食育・食の情報
冷凍食品の活用で
食生活を楽しく
−食への提言−
「健康で長生き」の基本はバランスの取れた食事と運動。だが“個食”や外食が増え、食事は偏りがちな現状をみると、無駄なくスピーディーに調理できる冷凍食品を上手に使いたい…「進化する冷凍食品を考える」と題して開催された読売食生活フォーラムで、食生活ジャーナリスト・岸朝子さんや管理栄養士・牧野直子さんらが、自らの体験を通して語った。
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■「バランスを大切に」
岸朝子さんが体験まじえ
このフォーラムは都内のホテルで8月26日、冷凍食品を再認識するとともに健康・経済的にも上手な活用の仕方を考える目的で、(社)日本栄養士会後援、(社)日本冷凍食品協会協賛によって開催。「進化した冷凍食品のおいしさと品質を再認識する」と題して、食生活ジャーナリスト・岸朝子さんが、体験談を交えて基調講演を行った。
岸さんは68年から約10年間、雑誌『栄養と料理』(女子栄養大出版部)編集長として活躍。家庭用の冷蔵・冷凍庫の普及と共に、ちょうど冷凍食品が出回り始めた時期だったという。
「余ったご飯は人肌でパックに入れ、冷凍保存するといつでもおいしく食べられます。食パンも買ったらすぐに冷凍庫に入れましょうなど、冷凍庫や冷凍食品の色々な活用方法を、盛んに雑誌でも紹介しました」
現在では、冷凍食品の品質も種類も進化し、安心で安全であることが何よりだと言う。
「家庭料理に求められるのは何より、おいしいこと」だと強調。「栄養がある、身体によいから食べなさいと強制するよりも、おいしければ家族は喜んで食べます」。次が栄養、安心・安全、そして経済的であることも大切なポイントだと言う。
冷凍技術の進化で、大量の素材を加熱処理して急速冷凍することが可能になった。最も美味しい旬の時期の素材は、栄養価も最も豊富。上手に活用して新鮮な素材のおいしさ、豊かな栄養を、家庭で楽しみましょうと呼びかけた。
また経済的であることも、冷凍食品のメリット。最近の傾向である「個食」や共働き家庭、特に高齢化や少子化で少量の料理を作る場合など、必要な量だけを使えて無駄がない、処理済なので調理時間も短く、捨てるところがないなど。「経済的でゴミ減量化にも貢献できます」と。
「元気で長生きのためには、食生活と運動が大切。女子栄養大創始者の香川夫妻は、病人を作らない食事の基本を教えています。それは食事の中から、必須栄養素をバランス良く摂ること。必要なものを必要なだけ食べることで、冷凍食品がかなっています」
「例えばちょっと緑黄色野菜が足りていないと思ったら、冷凍のカボチャを煮たりつぶしてスープにするなど、必要な分だけ手軽に料理できるのが良いところ」。栄養バランスが大切だが堅苦しく考えず、ちょっと足りないと思ったものを補うように食べるのが良いとアドバイス。
最後に「おいしいと思うと心が豊かになる、人を喜ばすことが食べることの幸せ。そして冷凍食品にプラスαの家庭の味を、子ども達に伝えてください」とまとめた。
■常備して賢く利用
プラスαで家庭の味を 第2部「冷凍食品をおいしく上手に活用するには」では、管理栄養士・牧野直子さんが日本テレビアナウンサー・河本香織さんとトーク。
「冷凍食品といえばミックスベジタブルが定番でしたが、今では素材から調理済みまで、冷凍食品でないものはない。我が家の冷凍庫にはミックスベジタブルの他に、仕事中の夜食には頭のエネルギーとして冷凍うどん、食器を汚したくない時には焼きおにぎり、サツマイモなどを常備。1人か2人の食卓に何かもう一品欲しい時、青菜をチンして簡単に1鉢作るなど、場面に合わせて使い分けしています」と、牧野さんは体験を紹介。
「子どものお弁当に冷凍食品は欠かせない。子どもは母親の手作りより冷凍食品を喜ぶ」という河本さんの問いかけに、「ハンバーグは冷凍でも、ソースは母親の手作りにするなど、家庭の味をプラスして」と牧野さんがアドバイス。続いて賢い活用方法を次のようにまとめた。
【購入の時】1冷凍庫よりも山盛りで陳列している店は避ける、2マイナス18度以下で保存されているか、3商品に日本冷凍食品協会確認工場製品の認定証マークが付いているか、4商品の回転が早いか、5包装が破れていない、6買ったらすぐ帰る、72〜3品を買い物袋の中央に入れる
【帰ったら】1素早くしまう、2詰め込みすぎない(冷凍庫の7割程度)、3開封したものは期限などをこまめにチェック、4ポケットは温度が上がりやすい
【解凍の時】1パッケージの表示・説明をよく読む、2野菜は7〜8割火が通っているので2〜3割を加熱すると考えるとよい。
【2004年9月11日号】