教育家庭新聞・健康号
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食育・食の情報
学校と家庭の信頼関係が基本
積極的なアレルギー対応給食
東京・杉並区立 桃井第4小学校
 来年度から創設される栄養教諭制度では、期待される職務の一つに、アレルギーを持つ子や過度の痩身・肥満傾向などの子どもへの、食を通じた個別指導があげられる。今回は、きめ細かな対応と保護者との信頼関係を基礎にした実践で注目される、東京都杉並区立桃井第四小学校の学校栄養職員・笹原道子さんの取り組みを紹介しよう。

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■関係者が情報を共有
 現在6年生のAさんは同校入学当初、青魚、エビ・イカ、卵、乳製品全般、もち米などたくさんのアレルゲンがあり、食べられる食材をそろえるのが大変なほど。当時の同校栄養士で、Aさんをはじめアレルギー対応に取り組んだ横山きよさん(現・昭和女子大短大非常勤講師)は、それでも元気いっぱいのAさんを鮮明に覚えていると目を細める。

 笹原さんが後を引き継いだのは昨年度。調理員の指導から、校内外との連絡システム構築までを積極的にすすめている。

 年度はじめに行う、全児童・保護者への食物アレルギー実態調査が、システムの出発点。調査票には食物アレルギーの有無から、アレルゲンの品名、過去も含めた医師の診断・指導の有無と内容、家庭での対応、学校での対応の要・不要など、詳しく具体的に記入してもらう。その前文には校長名で、安全でおいしい給食のために「学校と保護者が互いに理解し、協力し合う必要があります」とある。この調査をもとにしてさらに必要な場合は保護者と笹原先生が、担任、養護教諭などを交えて面談などを行う。

 実態調査の結果、今年度は食物アレルギーを持つ児童が全校で7%、2・3年生では10%以上に上ることが分かった。多いアレルゲンは卵、魚介類、牛乳など。

 月ごとに作成・配布される献立表とは別に、食物アレルギーの子の保護者には、毎日の献立と使用するアレルゲンの品目・量が対照できる一覧表を配布。毎回、連絡をとりあって、確認しながらの実施。さらに養護教諭、調理員と学級担任には、献立と児童別の対応する品目が一覧になった表を配布。関係者が常に情報を共有できる体制だ。

 例えばBさん。アレルゲンは卵、ハム、ベーコン、練り製品、アーモンド、ピーナッツ、そば、くるみ、マヨネーズと9品目にも。ある日の献立には五色煮があり、ちくわを使うのでBさんの分は除去。別の日には鶏とごぼうのピラフ、ミネストローネなので卵とベーコンを使えない、などが一目瞭然になっている。

 一方ではリスク管理の体制。重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシー・ショックには、担任、保護者、管理職、養護教諭、主治医・病院との連携・連絡の体制を整備。管理職・養護教諭から栄養士に連絡が入り次第、除去食・検食の確認と調理方法の再確認が行われる。

 「子どもの食の安全を考えると、全てが妥協はできない。調理師の指導、保護者や関係機関との連携も、栄養士の仕事」と笹原先生は言う。



【2004年7月17日号】