朝食を食べない子どもが増えているが、「なぜ朝食を食べた方が良いのか」を自分達で考え、より良い食べ方に気付いて欲しい−−栄養の自己管理能力の育成や食文化の伝承等に重点を置いた給食指導をする、東京都杉並区立桃井第四小学校(高島信義校長)では、12月の総合的な学習の時間を活用して6年生が「1日のスタートは朝ごはんから」に取り組んだ。
■「食生活学習教材」も活用
「パンと目玉焼きとヨーグルト」、「納豆ごはんとお茶漬け」、「パンとジャムと牛乳」などなど。「今日の朝は何を食べてきましたか教えて下さい」と担任の吉野恵子教諭が問いかけると、次々に発表の手が上がる。「えー、そんなに食べるの」、「すごい、豪華だ」など反響も様々で、スタートしたばかりから授業は盛り上がりを見せている。
その後ろでは同時に学校栄養職員・笹原道子先生が、子どもが食べた食品の絵をマグネットで黒板に掲示していく。
学級担任と栄養士とのT・Tによる、この日は2時間目の活動。前日は朝食の意味・働きを中心に、パネル展示などで考えた。吉野先生が軽くそれを振り返ると、「食べることで体や脳のエネルギーになる」、「体温が上昇する」、「排便がよくなる」、「食べないとエネルギー不足でフラフラする」、「集中できなくなる」など反応も良好。学習したことは着実に定着しているようだ。
そこで交替した笹原先生は、黒板の食品を赤(血や肉になり体を作る=たんぱく質)、黄(エネルギーになる=脂質)、緑(体の調子を整える=ビタミン)の3グループに分類して、それぞれの食品群の働きを説明。家庭科などでもすでに学習済みの部分で、子ども達の理解は早い。
「今度は中学生が勉強する内容だから、ちょっと難しいよ」と6群に分類。教卓いっぱいに並べられた様々な食品のマグネットを、子ども達は競って分類表に貼り付けていった。さらに各自が、文科省作成資料の「食生活学習教材」を使って、キッチンや冷蔵庫にある食品を、その働きを考えながら赤・黄・緑に色鉛筆で色分け作業。ぼんやりしている子は一人もいない。
緑グループの緑黄色野菜の分類では、「キューリやレタスは、見かけは緑だけど、切り口は白っぽいから緑黄色野菜ではありません」など、見分け方のヒントもアドバイスした。
■朝食を毎日食べる子は8割
杉並区学校栄養士会は平成14年度、「朝食について」のアンケート調査を区内の全小中学校の子ども達に実施。それによると朝食を「毎日食べる」は小学生で81.8%、中学生では76.3%。その理由は「時間がない」が小学生27.3%、中学生25.3%でトップ。次が「食欲がない」で小学生21.8%、中学生20.5%だった。
授業では食品の働きを知った子ども達が、栄養のバランスを考えながら自分で献立を作って発表。好きなものばかり食べるのではなく、3色のバランスや主食・主菜・副菜の配分も心がけた食事の大切さに気付いたようだった。
高島校長は「本校の子ども達は祖父母まで3世代同居の家庭が多く、日本型食生活の食事が多いのが特長。子ども達が自分の食事を通して健康を考える習慣を身につける食の指導はこれからも大切です」と語る。
【2004年1月17日号】