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子どもの心とからだの健康

便秘のしくみ知り、生活見直しを
下剤は医師の指示の下で

 便通の自覚についてのあるアンケート調査によると、20歳代の約70%の人が、規則正しく習慣づけられた排便はなされていないと答えています。中でも20~40代の女性の約40%の人は、便秘の症状があるということです。また別の調査では、最近の小学生も排便の習慣が乱れているということです。そこで今回は、お通じのしくみと便秘になる原因、タイプ、その予防法などについて、日本医科大学第3内科非常勤講師他を歴任、豊島区池袋で「便通異常外来」を開設しておられる平塚胃腸病院院長の平塚秀雄さんに、お話を伺いました。


便秘の定義

---便秘の定義はあるのですか?
 便秘は便の出にくい状態をいいます。排便がない状態が3日以上であるとか、2~3日だとかいわれますが、基本的には人によって受け止め方が違い、1週間出なくても平気な人は平気ですから、そういう人は便秘として扱うことはないと思います。

---便秘の反対が下痢なのですか?
 便秘と下痢では観点が違います。下痢は便の中の水分が多いか少ないかであって、便が出にくいということとは関係がありません。例えば「便秘で困ります」といってくる人が、よく聞いてみると下痢だったり、「下痢して困る」という人が便秘だったりします。自分では便秘だと思っている人が病院に行かずに薬局に行って、いきなり「下剤をください」ということも多いのです。

---そもそも便はどのようにできるのですか?
 胃や小腸を経て消化・吸収された食物の残りが大腸に送られてきます。それらの9割は水分なので、大腸はぜん動運動(腸壁の筋肉が順に収縮して、食べ物を絞り出すように先へ先へと送り込む運動)を繰り返しながら水分を吸収していきます。残った未消化の食べ物に古い腸の粘膜や腸内細菌の死骸などが加わって、徐々に固まりながら、便になっていきます。最後に直腸に到達し、そこで便がある程度溜まると直腸の壁が刺激され、それが自律神経によって大脳に伝えられることで、便意が起こって肛門から排泄されます。もし直腸に便が長く留まると、水分が吸い取られて硬くなり、便秘となります。

---では、なぜ便秘になるのでしょう?
 排便のメカニズムを知らない、または充分守っていないと便秘になりがちです。具体的にいいますと、次のようなことです。
【朝食抜き】
 排便のメカニズムとは、第1に「起床結腸反射」が起きるということです(結腸は大腸の主要部分をさす)。朝起きると、大腸が動き出すということです。第2に、胃にものが入ると「胃結腸反射」が起きて、胃と腸が動き出すことです。ですから朝食はとても大事で、それを抜けば胃や腸が働かず、排便にさしさわります。
【少食】
 例えば「痩せたい」ということで、食べない人がいますね。これは便になる元の食物が少ないわけですから、便秘がちになります。
 きちんと食事をとることが大切です。
【食物繊維が足りない】
 日本人はもともと農耕民族で、食物繊維を多く摂取していました。ところが近頃は食事が洋風化し、食物繊維の摂取量が減って、便秘の原因になっています。食物繊維とは、「人間の消化酵素では消化されない成分」のことです。消化されずに大腸へと送られ、便の材料となります。このため、食物繊維の多い食品をたくさんとると便の量が増え、大腸が刺激されてぜん動運動が高まり、排便がスムーズに行われます。
【ストレス】
 世の中がせわしなくなって、ストレスが溜まりやすくなっています。大腸は胃と共に大変デリケートな臓器のため、ストレスによって腸のぜん運動が激しくなり、「過敏性腸症候群」になりやすくなっています。

慢性と急性

---便秘には急性と慢性があるそうですが。
 そうです。急性便秘は、たとえば1週間くらい前から突然おなかが張って便が出ないときなどで、「一過性単純性便秘」と、病気が原因でおこる「器質性便秘」があります。
 「一過性単純性便秘」は、先程お話したように、食べる量が少なかったり、環境の変化、精神的ストレスなどによる一時的な便秘で、急性便秘の多くはこのタイプです。その例として、以前、こんなことがありました。女子高生がバレーボールの試合で上京し、寮に泊まっていましたが、そのトイレが汚かったことや環境の変化で便が出ない状態が続きました。ところがスポーツをするのでお腹は空き、すぐ食べます。そのうち腹痛が起きて病院にきました。診ると便が石のように硬くなっていて(糞石)、浣腸してもだめ、便をこわして出すのに苦労しました。
 「器質性便秘」では、腸捻転や腸閉塞などの病気が考えられ、その場合は激しい腹痛や嘔吐を伴うことが多いので、急いで病院に行くことが必要です。

---では、「慢性便秘」にはどのようなものがありますか?
 慢性便秘は、2~3年前、あるいは子どもの頃から便秘がちだったなどです。何らかの原因で腸の機能(働き)が低下したためにおこる「機能性便秘」と、病気が原因でおこる「器質性便秘」があります。「機能性便秘」は「常習便秘」ともいい、便秘の中では最もよくみられるもので、次の3つのタイプがあります。
 【大腸のぜん動運動が弱い】-結腸性便秘-(弛緩性便秘)
 結腸の緊張がゆるんで、ぜん動運動が弱いために、便を十分に押し出せないことからおこる便秘です。お年寄りや虚弱体質の人などに多く、腹部膨満感、残便感、食欲の低下などがみられます。頭痛や肩こり、手足の冷え、倦怠感などの症状を伴うこともあります。便秘症の多くはこの結腸性便秘です。
 【便意を感じにくくなる】-直腸性便秘-
 直腸は大腸の最終の部分で、便が溜まる場所です。たとえば朝食をとった後、すぐ会社に出かけてトイレに行けないことが続くと、しだいに直腸の神経が鈍くなって、便意を感じなくなります。すると便を押し出す大腸のぜん動運動も始まらないため、排便が難しくなってしまいます。高齢者や病気で全身が衰弱している人、浣腸を繰り返し使っている人などにも起こります。
 【大腸のぜん動運動が激しい】-けいれん性便秘-
 結腸性便秘とは逆に、大腸が緊張してぜん動運動が強すぎるために起こるもので、「過敏性腸症候群」の一種です。過敏性腸症候群では、便秘と下痢が交互に起こったり、慢性の下痢が続くこともあります。原因は主に精神的なストレスで、それが自律神経に影響し、腸がけいれんを起こして、ところどころがくびれて狭くなってしまい、便が通りにくくなるためです。特徴は食後に下腹部が痛くなること。便意は起こるのですが、うさぎの糞のような便や細い便しか出ず、残便感があります。

朝起きたら 冷水を一杯

---便秘の予防法は?

 私はいつも言っているのですが、便秘の治し方は、「1に生活、2に食事、3、4がなくて、5に薬」です。下剤の乱用はかえって便秘を悪化させることもあるので、慎重にしましょう。具体的な予防策は、便秘の原因のところでお話したように、「朝起きたら冷たい水を飲む」、「朝食は必ず食べる」、「便意を感じたらトイレに行く」、「便の元である食物繊維の多いものを摂取する」「軽い運動や腹筋を強くする」などです。

(2001年8月11日号より)