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学校給食は食育の教材【第33回】毎月の給食に行事食を

行事食の献立は文化を伝える工夫を

給食
七夕給食「短冊トースト、天の川スープ、七夕ポンチ」など

学校はもう夏休みですね。今月の給食はどうでしたか、ちょっと振り返ってみましょう。

7月の行事といえば、「七夕」です。七夕にちなんだ給食を出す学校は多いと思います。広辞苑で「たなばた」と引くと「棚機(たなばた)」という見慣れない漢字が出てきます。これは、日本に古来から伝わる「棚機つ女(たなばたつめ)」に由来しており、水辺に立てた小屋で神様を迎えるために、棚機と呼ばれる機織り機で神様に捧げる衣を織り上げる女性のお話だそうです。やがて中国からこの日の行事として伝わった、女性が裁縫の上達を祈る「乞巧奠(きこうでん)」と結びつき、江戸時代に七夕(しちせき)の節句が五節句のひとつに定められると、人々に親しまれるようになっていきました。

七夕の唄に出てくる「五色の短冊」の五色は、青・赤・黄・白・黒(玄)の5色ですが、染料や色彩認識の関係で、昔も今も青は緑、黒は紫で表されることが多いので、実際には緑・赤・黄・白・紫になっているとか。

その五色の短冊の七夕飾りを川や海に流す風習を「七夕流し」といい、七夕飾りが天の川まで流れ着くと、願い事が叶うといわれています。織姫にあやかり機織りなどの技能や文芸の上達を願うのが正式なのだそうです。(参考文献:広辞苑、ブリタニカ国際大百科事典等)

このような七夕にまつわる言い伝えや由来を児童集会や朝会で紹介したり、笹飾りに願い事を託したりと様々な活動が今年も行われたことでしょう。

七夕は色鮮やかなメニューに

さて、ここで子供たちが毎年楽しみにしていた「七夕給食」を紹介します。

@主食:「七夕ちらし」天の川に見立てた錦糸卵や星形に飾り切りした野菜をそえたすし飯。「短冊トースト」食パンを縦半分に切り、五色の短冊とはいきませんが、二種類のトーストにしました。色は、オレンジ(甘い人参ペースト)と緑(ゆでほうれん草に粉チーズを混ぜて)。または、赤(イチゴジャム)と黄(卵)にしたこともあります。

七夕 給食に向かう児童
七夕飾りを終えて給食に向かう児童たち

A汁物:「天の川スープ」七夕にはそうめんを食べる習わしがあるとのことで、スープに加え天の川に見立てました。具には、オクラや星形のニンジンなどをあしらいます。

Bデザート:「七夕ポンチ」いつものフルーツポンチの果物を半量ほど減らし、2〜3種類の星形ゼリーを加えます。クランベリーやカルピス、ブルーハワイなどを使い色鮮やかに仕上げます。シロップにカルピスを混ぜ「カルピスポンチ」にしたこともありました。

学期に1度行っていた交流給食の日に「七夕給食」を行い、織姫と彦星が天の川で会えるよう、みんなで仲良く食べましょうと話したことを思い出します。東京でここ十年夜通し晴れたのはたった一度だそうです。今年は何とか晴れのち曇りでしたね。

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来月の献立何にしよう?

【8月】

パイナップルの日(ポークソテーハワイアン、酢豚)土用(ひつまぶし、うざく、うな玉、あなごずし)焼肉の日(スタミナ焼肉)野菜の日(夏野菜のチキンカレー、野菜スープ、たっぷり野菜の卵焼き) 季節の料理(キーマカレー、キムチどんぶり、ガーリックライス、とうがんのそぼろあん、春雨スープ、ゴーヤチャンプル、なすの味噌焼き、カルピスゼリー)

大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web「おkayu(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。


【2017年7月24日号】

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