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INTERVIEW
動物を愛する学生を育成
ヤマザキ学園理事長
山崎 薫 さん

父の思い継いで理想の学校目指す 
          
「生命観」「職業観」持たせる教育を
山崎薫さん 「生命(いのち)を生きる」を教育理念に、ヤマザキ動物専門学校とヤマザキ動物看護短期大学を運営する学校法人ヤマザキ学園は創立40周年を迎えた。平成2年に亡くなられた学園の創始者である父・山ア良寿氏の思いを受け継いで2代目理事長として生徒の育成に力を注いできた山ア薫さんに、12月7日に行われた40周年記念式典では、教職員からバラの花束が贈られた。

  自宅を改築してまで開学にこぎつけた父の後を継ぎ、理事長に就任するにあたっては、色々と迷いもあったが、その時、薫さんの頭の中に思い浮かんだ一つの言葉があったという。

  「1972年にアメリカの大学に留学する際に、出発する日の朝、父から1枚の手紙をもらったのですが、そこには『It shall be done.』と筆で大きく書かれていました。この言葉はJ・Fケネディ大統領が座右の銘にしていた上杉鷹山の言葉を英訳したものですが、この「為せば成る」という意味の言葉を見ては、壁にぶち当たった時などに頑張ることができました」

  その言葉に突き動かされるように、自分がやらなければ誰が父の夢を実現させることができるのだろうかという思いに駆られ、後を継ぐことを決意した薫さん。学校法人の認可取得も、人と動物が仲良くやっていける社会を作りたいという父の願いを実現させるために努力した結果だった。

  そんな薫さんだが、入学した学生に、卒業するまでに身につけてほしいものとして「生命観」と「職業観」をあげている。

  「動物に携わる職業において安楽死は避けて通れない問題です。そのため、しっかりとした生命観を持つことが求められます。また、自分が学校で教わったことを活かし、社会にどのように貢献し、どのような分野で活躍していくか、自分なりの職業観を持って卒業してほしいと思います」

  生命の大切さを学び、動物病院やペットショップなど幅広い分野で活躍するヤマザキ学園の卒業生たちだが、看護職などの職業に就かなくても学んだことが活かされていく。

  「学園で学んだことは、自分の子どもを持って親になったときに必ず役に立ちます。なぜならば、学生たちは衛生栄養管理やしつけについて学び、礼節を身に着けて卒業していくからです。命の大切さを知るということは、子どもを育てる親にとって最も大切なものとなるからです」

  こうして学校法人認可、短期大学開学と、様々な苦難を乗り越え、着実な歩みを続けてきたヤマザキ学園は、次なる高みの50周年に向けて新たな一歩を踏み出し始めた。

【プロフィール】
 山ア薫(やまざき・かおる)=サンフランシスコ州立大学芸術学部卒業。麻布大学大学院修士・博士課程修了。学術博士(動物人間関係学分野)。90年に父である故・山ア良寿氏の後を継ぎ理事長学長に就任。94年学校法人ヤマザキ学園専修学校日本動物学院の認可取得。04年ヤマザキ動物看護短期大学開学、理事長に。同年に専門学校日本動物学院からヤマザキ動物専門学校に改名。


【2006年12月16日号】