支援シートの活用を 最終報告を案を審議<文科省>

不登校児童への支援

平成27年1月から会議が続いていた「不登校に関する調査研究協力者会議」の最終会議が6月29日に行われ、「不登校特例校に関する実態調査」の報告と不登校児童生徒への支援に関する最終報告案について話し合われた。全国10校(公立4校、私立6校)の特例校への調査では、在籍する児童生徒の数は中高生については年々増加、小学生は横ばいであることがわかった。

不登校特例校への調査 中高生で在籍数増加

不登校特例校への調査は、特例校の現状に関する基礎的情報を把握するために行われた。主な調査事項は、在籍児童生徒について、教職員について、教育内容について、授業料等について、効果・課題について。調査によると、中学生が最も多く729名の不登校生徒が在籍しており、男子の方が多く454名で約6割を占める。

多くの特例校で総時間数を750時間から770時間としており、教育内容は体験型学習として校外学習を年4回以上実施、道徳(35時間)をソーシャルスキルトレーニングの授業として実施、理科や社会科を中心に問題解決学習を中心とした合科的指導やフィールドワーク、体験学習、ボランティア活動の実施といった特色ある教育課程を設けている。

10校のうち8校が、学校やフリースクール等、教育支援センター(適応指導教室)などの関係機関と連携しているという。学校との協力では、事例検討会や情報交換の機会を設けているという意見が多数あがった。
授業料は中学校の平均が約47万6000円、高校の平均は約37万4600円と経済的負担は少なくないため、入学を断念するケースもあるという。

重点方策は3つ

不登校児童生徒への支援に関する最終報告案は、一人ひとりの多様な課題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進を目指して作成された。

今後の不登校児童生徒への支援の重点方策としては、▽「児童生徒理解・教育支援シート」の作成により、個々の児童生徒に合った支援計画を策定し、組織的・計画的に支援すること、▽市区町村教育委員会における教育支援センターの整備を含めて、個々に応じた支援や学習機会を確保する体制を整備すること、▽学校での教育の実施を原則としつつ、特別な事情がある児童生徒には、児童生徒の特性にあった一人ひとりの学び方を尊重し、多様な教育環境を提供できるよう、教委等において学習機会を保証することの3つが盛り込まれた。

「児童生徒理解・教育支援シート」は、全国的な実施を促す観点からモデル的なフォーマット(ひな型)として「児童生徒理解・支援シート」(試案)を掲げており、そこには共有すべき必要最低限の情報を盛り込んだ。今後、各学校において、記載項目をカスタマイズして使用されることが望まれるとしている。

このような取組の推進に向けて、学校として組織的な対応を行うため不登校対策について中心的かつコーディネーター的な役割を果たす教員を明確に位置付けることが必要だと記載されている。

最終報告の活用は校内研修等でも

6月29日の会議では文言の修正について意見が交わされ、文部科学省は2学期からこれを基に各学校で活用できるように早期に修正、確定した上で自治体へ発信をしていきたいとしている。委員からは、保護者へ対して自分の子供が不登校になったとしても、一人で悩まず、保護者を責めているわけではないので学校、地域みんなで考えていこうという姿勢が大切であることや、最終報告を校内研修で活用してほしいと言った意見が挙げられた。

 

【2016年7月18日号】

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