教職員の意識の徹底など4つのポイントを評価<第9回「朝の読書大賞」>

 読書推進と文字・活字文化振興に貢献し、業績をあげた学校および地方自治体・団体・個人を顕彰する第九回「高橋松之助記念『朝の読書大賞』『文字・活字文化推進大賞』」の贈呈式が10月29日、都内で行われた。「朝の読書大賞」を受賞したのは、米子市立福米東小学校(鳥取県)、清教学園中・高等学校(大阪府)、香川県立高松東高等学校。「文字・活字文化推進大賞」を受賞したのは、幕別町図書館(北海道)。

朝の読書大賞 贈呈式
贈呈式には全国から受賞者・団体が参加した。「朝の読書大賞」と「文字・活字文化推進大賞」は来年10回目を迎えることになり、より一層の読書推進が期待される

 贈呈式では、選考顧問で上智大学名誉教授の植田康夫氏が選考経過について報告。「受賞決定にあたってはいくつかのキーワードが考えられる」と話し、教職員の意識の徹底・生徒の自主性・学校司書などによる図書館の活性化・自治体全体での取組を挙げた。

各受賞校の取り組み

 ■米子市立福米東小学校−生活習慣としての取組み

 「みんなでやる」「毎日やる」「好きな本でよい」「ただ読むだけ」の朝の読書の四原則を、全職員の共通理解のもと取り組んでいる。学校と家庭が連携して「子供の学びを支える生活習慣づくり」に取り組み、「家読週間」を設定することなども併せて評価された。

 なお「家読」は、学期に1回、1週間程度設けている。"テレビの時間を減らして読書をする"など「無理なくできる目標を各家庭で決めている」(矢吹なおみ司書教諭)。他にも親子で読めるようその期間は2冊貸し出す、といった工夫をしている。多様な取組で読書習慣の定着を図っている。

 ■清教学園中・高等学校−朝読が授業のベースに

 様々なジャンルから中学新入生を対象とした約2700冊を図書館内に設置し読書生活を支援している「すくど文庫」、学級文庫「すくどの本」、数多くの本に出会える「おためし読書」など、朝の読書を活性化するために様々な取組を行っていることが評価された。

 高校の「探究科」など学校図書館を活用した授業も積極的に行っており、「朝の読書は、こうした授業のベースになっている」と探究科教諭で図書館リブラリア館長の片岡則夫教諭は話す。

 ■香川県立高松東高校−友達同士で本を紹介

 平成15年度より「朝の読書」に取り組む教員向けに「朝の読書実践ガイド」を作成。新たに転任してきた教員も含め全教員の共通理解と協力のもと行っている。各教室には「朝読文庫」を設置、全員が一斉に読める環境作りや、各クラスの図書委員が図書館とのパイプ役となるなど、様々な活動が評価された。

 「友達同士で読んで面白かった本を紹介することが、読書をさらに広げる」と篠原達司校長は話す。「本を読むのが当たり前という意識が生徒たちに生まれた」(山本真由美司書教諭)、「生徒たちは普段、部活等で忙しいからこそ、朝の読書は貴重な読書時間になっている」(増田恭子学校図書館司書)という。

 「文字・活字文化推進大賞」を受賞した幕別町図書館は、革新的なシステム改修、地元書店と福祉施設と連携した図書館運営が評価された。

 

【2015年11月16日号】

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