優秀団体賞の賞状をもつ |
「三菱アジア子ども絵日記フェスタ」は、絵日記で自国の文化を発信し、海外の文化を知るコンテスト。グランプリ受賞者は、海外の子どもたちと交流するプログラムに参加することが出来る。前回は、アジア24の国・地域から8万点近い作品が集まった。
国内では、優秀作品の多かった学校・団体に「優秀団体賞」を贈っており、授業や長期休暇と組み合わせた取り組みが見られる。前回受賞した16の学校と団体の一つ、茨城県阿見町立阿見第一小学校の小沼幸子教諭に話を聞いた。
国際社会の問題に対し 自分の意見を考える
阿見第一小で佳作を受賞した |
同校では、5年生が総合的な学習の時間を使って「世界に生きるわたしたち」をテーマに、身近な国や興味をもった国を調べるという、独自の教育を行っている。その一環として、1学期につくば市にあるJICA筑波を訪れた。
「JICA職員の方から日本が海外で行う農業技術の支援についてご説明をいただきました。また、世界には学校に行くことができない子どもたちや、薬すら満足に飲むことができない子どもたちがいることを学びました」。
そのような学習を経て、子どもたちの心には「自分たちとは異なる世界に対する理解と共感」が芽生える。その気持ちをさらに深めてもらおうと、「自分たちがすでに知っている国だけでなく、そういった国のことをもっと調べてみよう」と声をかけた。
2学期になると児童は、国際社会の問題に対して自分たちには何ができるのかを考えていく。「ちょうどその時、当時5年生を受け持っていた先生が、『三菱アジア子ども絵日記フェスタ』を知りました。大変興味深い内容で、さっそく児童みんなで挑戦してみることにしました。この取り組みは、自分たちが総合的な学習の時間で調べたことを“発信”するとても良い機会になりました」。
“紙”に表現して伝える 5年生中心に全校で挑戦
小沼教諭は、当時1年生の担任で図工主任。貴重な機会なので、冬休みに挑戦してみたらどうかと、全職員に声をかけた。
「絵日記は幼稚園などで取り組むところもあるようで、どの学年でも挑戦しやすいという特長があります。また授業でパソコンを使うことが多くなっていることもあり、絵日記には自分たちの生活や文化を手書きで世界に伝えるという良さもありました。子どもたちはパソコンを使う授業を喜びますが、“検索”する作業が多く、紙を使って自分たちが調べたことをまとめることはとても大切です」。
応募にあたり、何をどのように表現していいか悩む子どもたちには、HP内(三菱アジア子ども絵日記フェスタの)にある過去の各国の受賞作品を見せてイメージを膨らませる指導も行った。「前回の作品を見ましたが、海外の作品は原色が多く、日本の子どもたちの色使いとは少し違うと感じました」。各国の作品を見ることで、多様な文化を知る機会にもなった。
“書く”と“描く”の実践 思いを表現するツールに
1、2年生は生活科で観察日記を書き、3年生になると新聞作りにも挑戦していくが、文章を書くことにまだまだ慣れていない児童も多いそうで、文章を“書き”、絵を“描き”自分の思いを表現する絵日記は、児童の成長を感じられるツールとしても貴重なものであるようだ。「授業や校内研究のテーマと結びつけながら、夏休みや冬休みに挑戦するという流れが良さそうですね」。と小沼教諭は語る。
【三菱アジア子ども絵日記フェスタ2012‐2013】
対象=6歳から12歳(応募時点)、作品規定=1作品5枚つづり(A4縦)、画材は問わない、テーマ「伝えたいな、私の生活」、締切=2013年1月18日当日消印有効、発表=2013年4月予定の「国際選考会」終了後通知、応募者全員に「オリジナルクリアファイル」を贈呈、問合せ=03・5777・6825
http://enikki.mitsubishi.or.jp/
〈次回掲載は教育家庭新聞マルチメディア号・11月5日号〉
【2012年10月22日号】
【連載】絵日記から始まる国際交流 −三菱アジア子ども絵日記フェスタ